記事カテゴリ:

48 アルファベットの「音」と「名前」

〜「音」で日本語表記のローマ字kiは「ケイアイ」ではなく「き」

 英語の発音の仕組みの続きです。
 皆さんは「アルファベットの歌」をご存じですね。「♪A(エイ)、B(ビー)、C(シー)、D(ディー)、E(イー)、F(エフ)、G(ジー)...」と、アルファベットの26文字にメロディーを付けた歌です。

 最近では、幼児のころから英語に親しませようという流れもあり、英語の歌の代表的なものとして、小さな子どもがこの歌を口ずさむのを見聞きすることも増えてきました。

 お子さんがこの歌を上手に歌っているのを聞くと、将来、この子は良い発音で英語を話すことができるようになるのでは、と期待される人は少なくないかもしれません。しかし、この歌は英語の発音の基礎とはなりません。

 それは、英語の文字の一つ一つには「音」とは別に、「名前」があり、「エイ、ビー、シー」というのは、アルファベットの文字の「名前」であり、「音」ではないからです。

 英語の単語は、基本的に、アルファベットの「名前」ではなく、「音」を組み合わせて発音します。

 例えば、p、i、gの「音」は、それぞれ「プ、イ、グ」です。ですから、pig という単語は「ピグ」と発音されます。「ピー・アイ・ジー」と文字の「名前」では発音されません。

 日本語には文字の「音」はあっても「名前」はありません。「た」は「た」であり、他に呼び方はありません。そのため、英語を学ぶ際に混乱が生じるのです。ちなみに、「音」がなくて、「名前」がある文字の一例は、@です。「アットマーク」と「名前」が付けられていますが、「音」があるわけではありません。

 小学校で、ローマ字を学ぶ時に、まずアルファベットを習ったはずです。そして、その時に「アルファベットの歌」を学んだ方もいるでしょう。ところが、歌の中では、kは「ケイ」、iは「アイ」なのに、それらがくっついてkiとなると、「き」と読むのだ、と説明されます。そのとき、「kiはどうして、『ケイアイ』と読まないのだろう」と疑問に思いませんでしたか?

 ローマ字は、アルファベットの文字の「名前」ではなく、「音」で日本語を表記したものです。k、iの「音」はそれぞれ「ク、イ」ですから、kiは「き」とほぼ同じ音になるのです。

 アルファベットの「名前」と「音」の違いについて、ローマ字の時には、なんとなくその理由が分かったつもりでも、その疑問がはっきりとは解決されないまま、英単語の発音に取り組もうとすると、つまずきが生じやすくなります。

 では、アルファベットの一つ一つの「音」をしっかり身に付ければ十分かというと、そうは問屋が卸さないのが英語のつらいところです。次回に続きます。
(2012年2月25日号掲載)

 
たてなおしの教育