020 膵臓がん ~初期の発見がカギ 手術で完治も可能~

 膵臓がんの治療には手術、抗がん剤、放射線療法がありますが、今のところ完治が期待できるのは手術による治療です。しかし、膵臓がんは初期の状態で発見することが難しいため、手術を行える割合は3割前後といわれ、その他では抗がん剤や放射線治療を行うことになります。切除ができるのは、他の臓器や腹膜にがんが広がっていない場合です。


 膵臓がんの手術

 膵臓がんの手術は他のがんの場合と同じように、がんの部分だけ摘出するのではなく、がんが広がっている可能性のある周辺の臓器やリンパ節を一緒に摘出する必要があります。がんの広がりや発生部位の違いによって、「膵頭切除」、「膵体尾部切除」、「膵全摘」などに分類されます。


 膵臓がんの中で最も多い膵頭部がんを切除する場合は「膵頭十二指腸切除術」が行われます。膵臓の頭部、十二指腸の全部、胃の一部、胆のう、胆管、リンパ節などを取り除くもので、残った膵臓を小腸につないで、膵液が小腸に流れ込むようにします。


 膵体部や膵尾部にがんができている場合は、「尾側膵切除術」が行われます。これはがんのできやすい膵体部や膵尾部だけでなく、隣接する脾臓も摘出する方法です。


 がんがすでに膵臓全体に広がっている場合には、膵臓全てを摘出する手術を行います。この手術では、膵臓だけでなく周囲の胃や腸の一部、胆のう、脾臓、リンパ節なども摘出しなければならないため、消化酵素やホルモンを分泌する機能が失われます。そのため、術後の生活には消化酵素薬やインスリン注射が必要になります。


  症状緩和する手術も

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 完治のためではなく、がんによる症状を緩和するために手術を行うこともあります。胆道が狭くなって黄疸が生じている場合には、「胆管空腸吻合術」を行います。また、十二指腸に広がって食物の通過を妨げている場合には、「消化管バイパス手術(胃空腸吻合)」を行います。

 膵臓がんは病巣が切除できた場合でも、再発率が非常に高いといわれています。そのため最近では病巣を切除するだけでなく、手術後に補助療法として放射線の照射や化学療法を行うことがあります。

(2012年3月17日号掲載)


関 仁誌(消化器外科科長=専門は肝臓、胆道、膵臓)

 
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