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24 舞踊生活80周年 〜バレエ一色の人生 生涯現役を目標に

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 今年の1月、私は85歳になりました。5歳から始めた西洋舞踊、続いて転向したクラシックバレエ。合計すると舞踊生活80周年です。連載を始めるに当たり、これまでの出来事を年代順に書き出してみたのですが、まさにバレエ一色の人生だったことを再確認いたしました。


 私の年代の女性が一人でこの年齢まで仕事を続けているのは珍しいことです。ご主人に先立たれ、寂しい老後の方も多い中で、私は今も週に1度だけは専門課程のレッスンを担当しています。その様子を昔の教え子たちが見ると、「優しくなった」と言います。


 バレエ環境も変化

 確かに、以前のように「厳しくしてください」と言う親御さんも最近はいらっしゃいませんし、子どもたちが厳しさに耐えるのは難しいと思います。普段のレッスンは若い講師が担当しており、昔の厳しいレッスンとは変わってきているのを感じております。


 バレエをめぐる状況も変化しています。この間も首都圏の先生から「ワンコインレッスンが出てきて経営が大変」と聞きました。バレエというのは、踊りを科学的に体系立てたものですから、正しく習得して教えられるようになるまでには、非常に長い時間がかかります。仮に5歳から始めても、高校までの10年は基礎の習得に最低限必要です。


 あまり安い料金でレッスンを提供している場合、きちんと学んだ講師かどうか疑問です。バレエに関しては、それぞれの好みや事情に合わせてどこで学んでもいい、という考え方はあまり良くありません。それは、これまでも説明してきましたように、先生が正しくバレエを教えているかどうかが問題で、最初に間違って覚えたら修正が難しいのです。


 少子化と不況でバレエを学ぼうという方は減り、あるいは人数はいてもレッスン回数や継続する年数が減っております。けれども、身体表現を伴う仕事を希望するなら、小さいうちにバレエをやっておくことがますます重要になると思います。


 フィギュアスケート、新体操などは、動きを見るとバレエの基礎があるかどうか、すぐに分かりますね。美しさが全く違います。芸能関係にも有利でしょう。私の生徒さんで社交ダンスの先生になっている方がおりま

す。クラシックバレエの基礎が仕事に役立っていることは間違いないでしょう。


 正しいバレエ伝える

 初回で触れた長野が「バレエ王国」といわれる理由をお分かりいただけたことと思います。戦後間もない時期での日本バレエ界の大御所である小牧正英先生との出会いは、正しいバレエを伝える私の運命を決定づけたものと思っております。


 小さいころの基礎をつくってくれた後藤澄夫先生には晩年までごあいさつに伺い、微力ながら経済的な支援もさせていただきました。お墓参りも欠かさず続け、感謝の意を伝えております。今は長野バレエ団、そしてNAGANO全国バレエコンクールが一層発展し存続していけるように整えていくことが、お世話になった皆さまへのご恩返しになるものと思って努力いたしております。


 当面、8月5日(日)の「倉島照代 舞踊生活80周年記念公演」の成功を目指して精進し、そして信毎賞の授賞式で誓ったように、生涯現役を目標にバレエと共に頑張って参ります。


おわり


(聞き書き・北原広子)

(2012年4月14日号掲載)

 
倉島照代さん