024 突発性難聴 ~ある日突然に発症 主に薬物療法で治療~

 「突発性難聴」というのは、ある日突然生じる、内耳に起因する難聴で、特に原因のはっきりしないものを言います。


 この難聴は突然現れるので、「電話をかけていた時」とか、「机に向かって仕事をしていた時」など、その時自分が何をしていたかをはっきり覚えていることが多いのが特徴です。


 原因不明ですので、「耳をいじっていたとき」「大きな音を聞いた直後」「外傷直後」や「力を入れたり、強くいきんだ直後」など、難聴のきっかけがある場合は除きます。


 難聴の程度は、あまり自覚がなく、ちょっと耳がふさがれたと感じる程度のものから、全く聞こえなくなったという場合まで様々で、ほとんどの場合、耳鳴りを生じます。めまいを伴う場合もありますが、めまいが強い場合は難聴に気づかないこともあります。


 原因にはストレスも

 突発性難聴は内耳の病変ですが、病態の確定診断法がないのが現状です。脳のMRIを行っても明らかな所見は認められないことが多いのですが、まれに聴神経腫瘍が発見されることもあります。


 中年層の健康者に生じる場合が多いため、内耳の循環障害の原因は血栓・梗塞・出血などより、むしろ仕事や社会的な疲れ、ストレスなどの心因的な血管の攣縮(れんしゅく)などから生じるのではないかと考えられています。


 治療はステロイド・血行改善剤・ビタミンB12製剤・向精神薬などの薬物療法を行います。施設によっては、高気圧酸素療法など他の治療を併用することもあります。高度の難聴やめまいを生じている場合は、入院しての治療となります。


 早期に受診を

 治療の結果は、3分の1が著しく回復、3分の1がやや改善、残りの3分の1は改善がほとんど認められない-といわれています。特に発症から日数がたっている場合、高齢者の場合、糖尿病や腎機能障害などの基礎疾患を持っている場合は改善しにくくなります。


 めまいを伴う場合も、めまいのない場合に比べて内耳の病変範囲が広いと推定されるため、治りにくいといえます。


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 突発性難聴は1カ月以内に症状が固定してしまうといわれており、できるだけ早期に治療を開始することが大切です。聴覚に違和感を感じる場合は、早めに耳鼻科を受診することを勧めます。また初回はめまい発作の場合も、難聴を生じていることがあるため、早めに一度は聴力の検査をすることが大切です。

(2012年5月26日号掲載)


=写真=野村 康(耳鼻いんこう科部長=専門は耳鼻いんこう科、頭頸部腫瘍)


 
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