025 肺がん ~がん死亡者中最多 CT検診で早期発見~

 国内のがんによる死亡者数は年間34万人で、このうち肺がんの死亡者数は6万7000人と最多です。男性の肺がんによる死亡率は人口10万人当たり79人でがんの中で最も高く、女性は同28人で大腸がんに次いで第2位です。特に働き盛りの40〜60歳代の男性では、死亡者数、死亡率共に肺がんが第1位となっています。


 予防は禁煙に限る

 肺がんの原因は不明ですが、喫煙による化学的発がん物質の吸入が誘因になっていることは明白です。喫煙者は非喫煙者と比べ、約4倍も肺がんになりやすく、死亡リスクも高いとされています。喫煙は肺がん以外にも口腔咽頭がんや食道がん、心筋梗塞、消化器潰瘍のリスクも上昇させます。


 ただし、たばこを全く吸わない人にも肺がんは発生します。「腺がん」というタイプの肺がんで、女性の肺がんの70%以上を占めています。


 肺がんを予防するには徹底した禁煙に限ります。英国・米国では徹底した禁煙運動から20年がたち、ようやく肺がん死亡率の低下が見えてきました。日本の男性の喫煙率は39%で、米国男性の22%と大きな差があります。肺がんは、禁煙から10年で死亡リスクが非喫煙者と同じにまで低下するといわれています。愛煙家の皆さんは頑張って禁煙に挑戦しましょう。


 重要な検診

 症状が出にくい肺がんは発見が難しく、早期発見するには肺がん検診が重要です。最近は胸部レントゲンに加え、CT検診が増えてきました。CT検診では、レントゲンで見えない小さな肺がんを発見できます。早期に小さながんを発見できれば、治る確率も高くなります。


 肺がんの主な治療法には、外科的切除、抗がん剤治療、放射線治療があります。2センチ以下の大きさで、リンパ節に広がっていない早期の肺がんは外科的切除で十分で、抗がん剤治療は必要ないとされています。手術方法も、肺がんの進み具合によって、胸腔鏡といったカメラによる手術も選択できます。胸腔鏡手術は傷が小さく、従来の開胸手術より体への負担が少なくて済みます。


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 大きな肺がんや、がんが周囲に食い込んでいる場合は大きな切除が必要で、手術後の抗がん剤治療も必要になります。このように、治療の面でも早期発見が重要です。ぜひ肺がん検診を受けていただきたいと思います。


有村隆明=呼吸器外科医長兼乳腺外科医長=専門は呼吸器、乳腺

 
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