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08 菊池契月の象山像

 京都市中京区の花園大学歴史博物館は今年4月2日〜6月30日、真田家と佐久間象山ゆかりの文化財を公開する「大法院展」を開いた。入館者は1000人を超す盛況だったという。


 花園大は禅の研究に力を入れる仏教系大学で、創立母体は臨済宗妙心寺派。今回は同館の開館10周年を記念しての開催。B4判、95ページの図録を取り寄せて鑑賞した。


 それによると、大法院は650年を超える歴史があり、「肖像画の宝庫」とも称されている。

「長姫」を開基として創建された妙心寺の塔頭寺院で、1625(寛永2)年か、1662(寛文2)年の開創とされる。長姫は信濃国松代藩主・真田信之(幸村の兄)の長子・信吉の長女で、千種大納言有能に嫁入りした。


 信之は長姫に自己の菩提寺を建立せよ-と遺命。大法院には佐久間象山の墓地もある。


 展示作品は「長姫像」「真田信之像」「象山像」をはじめ、書簡、書画類など58点。うち、象山関係は20点を占める。


 圧巻は菊池契月(中野市出身。山ノ内町出身の南画家・児玉果亭に師事。京都名誉市民)が描いた「象山像」=写真。紙本墨画で1945(昭和20)年ごろに描かれた掛け軸だ。「師、果亭は写真の象山先生に似ている」と、朝日新聞(1939年6月1日)の記事にある。契月の象山像は絵はがきとなり、約300枚を印刷し、「大法院展」のPRを兼ねて各方面に配布された。


 松代文化財ボランティアの会(荻原幸子代表)は5月30・31の両日、和歌山県の高野山、九度山(真田昌幸、幸村の隠遁地)、大阪城...などへ研修旅行に出掛けた。一行30人は京都の大法院展も鑑賞。「最初で最後の大法院展を見ることができてよかった」と荻原代表は話す。


 珍しい資料としては、品川弥二郎(長州藩出身の政治家。吉田松陰の松下村塾に学ぶ)が、象山33回忌に寄せた書「象山佐久間先生の霊に告くる文」があった。そこには「...先生の大節泰山喬嶽の如く立其卓ニ後人の矜式(慎んで手本とする)する期と為る至りてハ千古に亘りて朽ちす」と記されている。

 
象山余聞