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15 北国街道 霊仙寺山 〜霊気感じ飯縄連山を回峰〜

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 梅雨入り間近の6月3日、飯縄山の支峰・霊仙寺山(1875メートル)を起点とし、飯縄山(1917メートル)、瑪瑙(めのう)山(1748メートル)を経て怪無(けなし)山(1549メートル)を回峰した。


 早朝に信越線牟礼駅で降り、まず霊仙寺山に向かう。霊仙寺地区を過ぎて間もなく霊仙寺跡に着く。ここは中世を通じ山伏の道場として栄え、「応永11(1404) 年8月」と刻された石の手水(ちょうず)鉢が往時の盛姿を今に伝えている。霊気満々の杉林の中の正面登山道に入り、緩やかな坂道をひたすら登る。


 いいづなリゾートスキー場最上部との合流点で一息入れ、急登の連続に取りかかる。新緑のブナ林から変わる林相を楽しみながら、一歩一歩高度を稼ぐ。コメツガの姿が目につき始めると頂上は間もなくである。


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 晴れ渡った山頂で、石祠に「3・11フクシマ」の復興と一日の無事を祈願して写経を奉誦。北信五岳の眺めを馳走に早めの昼餉を使い、折から飯縄山より来たハイカーに尾根道の状態を確かめホッとする。


 西南の飯縄山へは原生林を縫う尾根道で、峻路を1時間ほどアップダウンすると山頂に到着。ただ一人西北の高妻山に対し、神々しい残雪の姿に般若心経を奉誦。「心・身清浄。南無戸隠満山護法善神」


 次の瑪瑙山へは長い下りで、「那一歩、那一息」と慎重に足を運ぶ。初夏の陽光を吸った緑のじゅうたんを視界いっぱいに収め、気分はハイだ。最後の緩い坂を一気に登ると山頂で、北面は戸隠スキー場のリフトの終点である。


 西麓の御泉水(おせんすい)の地には約500年前、戸隠真言系15カ寺の一つ瑠璃光(るりこう)寺があったが、今はお仙水スキーコースにその名をしのぶだけ。


 最後の怪無山へは約4キロのゲレンデ上を下る。地下足袋から素足に伝わる草と大地の命の力を堪能し、戸隠表山に対面し続ける時間は山伏にとって至福の一刻である。「歩く、歩く、ただ歩くことが全てを解決する」


 怪無山からは、西岳方面より響く遠雷の音に気を使いながら中腹の宣澄(せんちょう)塚へと足を速める。


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 戸隠天台系信仰の中興・宣澄法印は、真言系との激しい抗争により非業の死を遂げ、1468年ここに葬られた。今もなお西方の法敵、西光寺跡を見据えていると伝えられている。法印の鎮魂を願い、墓前に不動真言を奉誦。540年余の星霜を経た現在、法印の魂魄が恩讐の世界を離れ、西方浄土を目指していることを確信して中社への歩を進めた。


 納めの中社で、戸隠大権現に久しぶりの回峰が無事に成就できたことに感謝して般若心経を奉誦。

 次は関田山脈西端の万坂(まんざか)峠と柏ケ峠を歩く。


=写真1=湖畔から仰ぐ霊仙寺山

=写真2=山伏の道場だった霊仙寺跡