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024 北八ケ岳 〜コケの緑と池の眺め楽しむ〜

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 6月初めの日曜日、北八ケ岳の白駒池周辺の山々を一回りした。しばらく前に社内の女性から「ニュウ」という変わった名前の山があることを聞き、いつか登ってみたいと思っていた。


 山仲間のT氏と、以前この辺の山に登った経験のあるK氏夫妻が加わり、長野を7時半に出発。上信越道佐久小諸ジャンクションから中部横断道へ。佐久南インターで降り、国道141号・メルヘン街道を経て9時半には白駒池駐車場に。中部横断道の部分開通で、北八ケ岳も随分近くなった。


 白駒池を時計回りに半周し、原生林の中の登山道をニュウ(2352メートル)に向かう。トウヒやシラビソの鬱蒼とした森が広がる一帯は、緑のコケにびっしりと覆われ神秘的な雰囲気だ=写真上。植生保護のために敷かれた板や丸太の上を歩く。


 「雨が降れば滑りそうだな」と心配していたとおり、出発時の好天が途中から雨に変わった。雨具を着込み、足周りにスパッツを付ける。登るにつれて登山道は雪道となり、難儀を強いられる。


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 稜線に登り詰めると、目指すニュウはすぐそこ。ニュウの名は稲わらを積み上げたニオの形から付けられたといわれるように、岩が折り重なって三角錐のような形をしている。強風にあおられながら頂上に立ったが、雨と霧で視界は不良。期待していた白駒池の眺めは、はるか眼下にかすんでいた。


 ニュウからは尾根伝いに中山へ向かう。稲子湯への分岐を過ぎると、雨が強くなってきた。下ばかり向いて歩いていたため、いつの間にか中山の最高点(2496メートル)を通り過ぎ、岩の広場となっている中山展望台に。


 ここからは天狗岳(2646メートル)の眺望が素晴らしいはずだが、濃いガスの中に残雪の山の姿がおぼろに浮かんでいるだけ。12時半を過ぎていたが、傘を差しての昼食も味気ないため、高見石(2249メートル)までもう1時間ほど歩くことにする。


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 今度は一気の下りだが、雪道のため慎重に踏み跡をたどる。樹林の中は所々で凍っており、滑って足を取られる。間もなく雨はやみ、高見石小屋のテラスでやっと昼食に。ガスコンロで湯を沸かし、コンビニで買ったご当地の安養寺ラーメンが冷え切った体を温めてくれた。


 昼食後、小屋の裏手にある岩山の高見石に登る。天気も回復し、原生林の中に瞳のように浮かぶ白駒池を間近に見下ろす=同下。周囲に目をやると、今登ってきたニュウから中山にかけての稜線が一望できる。さらに西側に丸山、北側には麦草峠の先に茶臼山、縞枯(しまがれ)山なども望める。


 再び白駒池に下山。雨と路面の雪氷に悩まされたが、鮮やかなコケの緑と高見石からの眺望を楽しめ、結構な山行となった。

(2012年6月30日号掲載)

 
中高年の山ある記