記事カテゴリ:

24 五言古詩 〜中条に象山48歳の作

zozan24-0827-04-01.jpg

 長野漢詩会の講師で、元長野高校教諭の宮崎真さん(89)=松代町=は6月7日、南長野の県長野合同庁舎別館の賛助会サロンで開いた勉強会で、佐久間象山の「読洋書2首」をテキストとして取り上げ、解説した。120字の五言古詩=写真=で、所蔵者は中条青木の小林敦男さん(88)。


 「土蔵に象山の書らしい掛け軸があるので、見てほしい」と、先ごろ小林さんから筆者に依頼があった。友人の同会会員を介して中国文学が専門の宮崎さんに解読をお願いした。


 その内容は次の通り(1首のみ=原文と書き下し文)。


  風露已凄其

  荒庭落葉積

  哀鴻響遠空

  寒蟀鳴高壁

  我弟在都門

  為市新洋籍

  窮格多精詣

  珍愛超珪璧

  心為曠澹悦

  理将沈潜繹

  日日貪新観

  徂景豈足惜


 風露已凄(せいき=きびしい)にして、荒庭に落葉積もる

 哀鴻遠空に響き、寒蟀(じゅつ)高壁に鳴く

 我が弟(てい=門弟)都門に在り、為に市(かう)新洋籍(洋書)

 窮格精詣多く、珍愛珪璧を超ゆ

 心曠澹(こうたん)と為りて悦び、 理沈潜を将(もって)繹(たず)ぬ

 日日新観を貪り、景(とき)豈に惜しむに足らんや


 季節は秋から冬に変わり、寂しい。渡り鳥の雁が遠くで鳴き、コオロギが集(すだ)く。江戸にいる門弟が私(象山)のために新しい洋書(オランダ語の書籍)を買い求めてくれた。自然科学の本で非常に珍しく、宝物にも勝る。うれしく、自然の神秘、道理を研究できる。そして毎日読むことで、新しい物の見方が得られるので、いくら時間をかけても惜しくはない。


 大意は以上の通りだが、「この漢詩は安政6(1859)年、象山48歳の作。難解な『櫻賦』より平易で、象山らしい詩」というのが宮崎さんの評だ。


 実物を見ると、所々に文字の濃淡がある。薄くなっている文字はなぞり書きしてあることが分かる。

 
象山余聞