028 歯周病 〜糖尿病との関連深く 治療で動脈硬化改善〜

 糖尿病は歯周病を悪化させる要因として知られていますが、最近、逆に歯周病が糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の発症と悪化に関わっているという事実が明らかにされ、歯周病予防の大切さが再認識されています。


 糖尿病で歯周病悪化

 糖尿病では、唾液の減少、口内の糖の増加、白血球機能の低下、毛細血管の循環障害などが起こります。このため、糖尿病でない人に比べ3倍も歯周病にかかりやすく、血糖値の管理が悪いほど歯周病も悪化するといわれています。


 血糖値が高くなると、唾液や歯茎のブドウ糖の量も増えます。細菌にとってブドウ糖は格好の栄養源ですので、菌の活動が活発になり歯周病を進行させます。


 私たちの体の白血球は細菌と戦い、退治する役目を持っています。糖尿病で白血球の機能が低下すると歯茎の防御機能も低下し、歯周病が悪化しやすくなります。また糖尿病による毛細血管の循環障害で歯茎が血行不良になると、栄養の供給や修復機能が低下し、歯周病も進行します。


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 歯周病で糖尿病悪化

 反対に、歯周病によって糖尿病が悪化することがあります。炎症を起こした歯周組織で産生された炎症性物質が血液中に入り、骨格筋や脂肪細胞による糖の取り込みを妨害して高血糖状態にしてしまうと考えられています。


 また、重症の歯周病を持っている糖尿病患者ほど、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの合併症が高頻度に起こる、との報告があります。これらは糖尿病の合併症であるだけでなく、歯周病が引き起こす病気であることを、知っておいてください。


 歯周病では、歯周病菌が産生する毒素が血液に乗って全身にばらまかれ、血管内で炎症性細胞が増加します。これらの炎症性細胞が産生する炎症性物質が、血管壁の増殖やコレステロールの沈着、血栓の形成に関与することが報告されています。これが心臓の血管で生ずると狭心症や心筋梗塞を起こし、脳に行く血管で生ずると脳梗塞を引き起こします。


 歯周病の治療により動脈硬化が改善することも明らかにされていますので、歯周病の治療は狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など死に直結する病気を予防する大きな助けになります。

(2012年7月21日号掲載)


=写真=田村 稔(歯科・歯科口腔外科部長=専門は口腔がん)

 
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