029 災害時の医療 ~避難所生活を健康に 大災害への備えを~

 昨年3月の東日本大震災発生から1カ月後、石巻市の避難所で一般診療を行ってきました。避難所の体育館は、ほこりが多く、咳の症状を訴える人が多くいました。また、プライバシーの保てない体育館や教室で寝ているため、不眠の訴えも多くみられました。


 災害直後の医療態勢

 長野市を震源にした震度7程度の善光寺地震が発生したとします。発生から48時間は急性期の外傷治療が中心になるでしょう。これに関しては、長野市と各医師会の協議で、市内の大きな中学校に、発生から3時間以内に応急救護所が設置されることになっています。


 また、全国から「DMAT(ディーマット)」と呼ばれる医療チームが入ってきて急性期医療に当たります。そこを乗り切ると、今度は長い避難生活が始まります。


 避難所生活の注意点

 では、避難所で健康に暮らすにはどうしたらよいでしょうか?


 (1)家庭の非常袋の中には、マスクを入れておいてください。避難所では空気が汚れているので、多くの人が風邪や気管支炎にかかっていました。この予防のために、マスクは必需品です。


 (2)常用薬は最低1週間分、持って行ってください。余裕をもって薬をもらい、非常袋に入れておくことをお勧めします。石巻では震災後1カ月たって、やっと5割の医療機関が再開しました。被災から1週間程度は慢性疾患への対応ができないことが予想されます。


 (3)避難所内では、どうしても動くことが少なくなってしまいます。そうすると、足に血の塊(血栓)ができ、それが肺に移動することで肺塞栓(はいそくせん)という命にかかわる病気が生じます(エコノミークラス症候群)。石巻の避難所にも、足に血栓ができている人が2人いました。避難所でも、体を動かすように努めましょう。


 (4)水分摂取を控えないでください。避難所ではトイレに行く回数を減らすために、水を控える傾向があります。これでは血液が濃くなって血栓ができやすくなりますし、膀胱炎も起こしやすくなります。

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 これらのことを参考にして、もう一度、家庭で大災害への備えを再検討してみてください。

(2012年8月4日号掲載)


=写真=坂口 治(救急科部長=専門は救急科)


 
知っておきたい医療の知識