030 人間ドック ~がんの早期発見と生活習慣病予防に~

 病気の予防が大切な時代です。人間ドックは、予防を支える大きな柱の一つです。


 人間ドックとは

 「人間ドック」という言葉は、戦前ある政治家が健康チェックのために入院した際、「船が航海を終えてドック(港)に上がり、船底に付いた貝殻を取り除いたり、エンジンや計器の整備をする」と言ったことから生まれたといわれています。


 人間ドックの目的は次のように要約できます。

 (1)がんの早期発見・早期治療↓身体的、経済的に負担の少ない治療につなげる。

 (2)生活習慣病の予防、早期発見・早期治療↓生活習慣の改善による糖尿病、高血圧、脂質異常症、脳血管疾患などの予防と治療。


 生死に直結するがんの早期発見は、人間ドックの第一の使命です。がんは初期には無症状のことが多く、がんの臨床病期I期(早期)の場合の5年相対生存率は全がん種類で92%です。市町村でも集団検診型のがん検診が行われていますが、公的資金を利用しているため、費用が安い半面、内容の充実という面からは人間ドックに及びません。


 胃がんの検診一つとっても、集団検診ではエックス線透視のみですが、人間ドックではエックス線透視と胃カメラから選ぶことができます。また胃カメラを選んだ場合は、何か病変が見つかればすぐに胃の組織を取って調べるので、検診の段階で診断ができます。


 指導で健康な状態へ

 また、人間ドックでは、生活習慣改善のための指導が重要と考えています。そのため、健診当日に医師による診察と結果説明、保健師による保健指導を行っています。


 「オプティマル・ヘルス」という言葉があります。これは、それぞれの年代における心と体が最も生き生きとした理想的な状態を表す言葉です。30歳代では80%以上の人がオプティマル・ヘルスの状態にありますが、50歳、60歳と歳を重ねるにつれ個人差が広がり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病やがんなどの疾患にかかる人が増えてきます。


 人間ドックでは、これらの疾患の早期発見・早期治療はもとより、糖尿病や高血圧などと診断される一歩手前の、いわゆる「未病」と呼ばれる健康状態を発見し、適切な指導をすることによって、受診者の皆さんを各年代のオプティマル・ヘルスの状態へ導きたいと考えています。


30-iryou-0811p.jpg

 人間は死亡率100%です。でも、PPK(ピンピンコロリ)でいきたいですね。人間ドックを通して、皆さんの健康のお役に立てれば幸いです。

(2012年8月11日号掲載)


=写真=近藤真喜子(健診センター医師)

 
知っておきたい医療の知識