031 エックス線 ~強さや量などを調整診断用ならまず安全~

 原発事故もあり、放射線に対しては「怖い」「体に悪い」など、負のイメージを持つ人が多いようです。そこで、放射線を正しく知っていただくために、放射線の中でも医療で一番よく使用されるエックス線について説明しましょう。


 放射線はその発生源により、自然放射線と人工放射線に分けられます。エックス線は人工放射線で、強さや量、タイミングを意図的に調整することができます。


 医療で放射線を扱う場合は、医師が必要性や正当性を判断し、放射線技師は、診断に使う場合は必要なときに必要な量を当ててできるだけ情報量の多い画像を作り出すように、治療の場合は決められた部位に的確な量が当たるように努めています。


 エックス線の性質

 エックス線の強さは電圧の単位「V(ボルト)」で表します。家庭用電源は100Vですが、診断用のエックス線では25kV〜140kV(2万5000V〜14万V)、市民病院の治療用としては6M(メガ)V(600万V)と10 MV(1000万V)で加速した電子で作ったエックス線を用いています。


 エックス線は電圧が高いほど物質を透過する能力が上がり、物質の違いによる透過の差が少なくなります。また、体の組織では脂肪より筋肉、筋肉より骨の順でエックス線が透過しにくくなります。エックス線写真は透過したエックス線の量の違いを濃淡にして画像にしています。


 エックス線の量は、電流と時間によって決まります。例えば、腰椎の撮影をするときには、痩せている人より体格の良い人の方が、同じ体形でも筋肉質の人の方が、前後から撮るときより横から撮るときの方が、高い電圧、多い放射線量が必要になります。


 体への影響に配慮

 医療で受ける被ばくは、前に述べたように必要性や正当性が判断されている上、放射線の当たる部位が限られているので、特に診断用に用いる場合にはエックス線が原因の健康への問題はほとんどありません。ただし、治療を伴う場合には時として皮膚に炎症や脱毛が生じる場合があります。


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 放射線被ばくは、当てる際の距離をより長く、時間を短くする、遮蔽物を用いることで減らすことができます。私たちは、できるだけ放射線を当てる範囲を小さく、時間を短くするよう努めています。検査を受ける皆さんのご協力をお願いします。

(2012年9月1日号掲載)


=写真=鈴木 隆(診療放射線科主幹=診療放射線技師)

 
知っておきたい医療の知識