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26 老骨にムチ 〜戦争の語り部21年余 500通以上の感想文が〜

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 一昨年11月23日、零戦パイロットを描いた小説『永遠の0』の著者・百田尚樹さんが、「歴史人・零戦の真実」の取材で我が家を訪ねられました。


 小説のストーリーは、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵について、孫の姉弟が元戦友たちから証言を聞くうちに、60年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどり着くという感動的な内容です。


 百田さんは何百冊もの本や資料に目を通して執筆されたそうですが、私は読むうちに登場人物たちが、あの人かも、この人かもと思い浮かべられ、実によく書かれているなあと感心させられました。ベストセラーになったこの作品は、来年映画化されるとのことで楽しみです。


 自分史や本の記事に

 この小説では、孫が祖父の戦友たちを訪問する展開になっていますが、私の東京のひ孫たちが中学生の時、夏休みの宿題の壁新聞に「曽祖父と戦争」を、もう一人も私の著書を読み、感想文を提出してくれました。靖国神社での「零戦の会」にも同伴させていたのが影響したのでしょうか。ちゃんと私の平和への思いを受け継いでくれていてうれしいことです。


 私はこれまで『波乱の航跡八十年』『平和への道のり』『世界平和への証言』の3冊の自分史を出版しました。昨年は桜の花出版から『シリーズ日本人の誇り9 零戦老兵の回想』が出版されました。長生きしているからでしょうね。


 そのほか『零戦最期の証言II』(神立尚紀著)や月刊誌「丸」には度々、別冊「歴史人」、アメリカでもゼロファイターとして『Beyond Pearl Harbor』など5冊の本に掲載されてきました。来年はアメリカで私を主題にした本が出版される予定です。


 今年の終戦記念日には、私が終戦を迎えた北海道の札幌テレビで零戦の体験談が放映され、自衛隊千歳基地内に私のコーナーが設置されました。


 私が戦争の語り部になって以来21年余。ある時は小・中・高生の前で、また米軍の岩国基地や公民館など大小様々な場所で語って参りました。「戦争は二度とあってはならない」「子どもたちに、あのようなつらい思いをさせてはいけない」「戦争のない平和な世界を築いてほしい」の3点を中心にお伝えしています。


 これまで500通以上の感想文が寄せられ、それが励みで、時にもうそろそろいいかなぁとも思いますが、要請があれば老骨にむち打って出掛けています。


 10月18日にはNHK「BS歴史館」の取材を受けました。今年はミッドウェー海戦から70年になりますが、当時の状況を語れる唯一の生存者として私に白羽の矢が立ったようです。放映予定は12月6日(木)20時から約1時間だそうです。


 民族の誇り忘れずに

 ところで昨年3月11日には東日本大震災がありましたが、がれきの処理はいまだ受け入れ先が少なく、日本人はエゴイストだと思いますね。皆でこの国を良くしようという気構えが欲しいですね。領土問題でも揺れています。戦争はいけないけれど、政治家は自国を守る毅然(きぜん)とした態度を相手国に示すべきだと思います。


 青春のすべてを捧げて戦った悲惨な戦争のことは一日たりとも忘れたことはなく、今でも講演をした夜は悪夢にうなされていますが、お迎えが来るまでは大和民族の誇りを持って生きたい、と決意しています。

おわり

(聞き書き・松原京子)

(2012年10月27日号掲載)

 


=写真=「玉音放送を聞く会」で講演する原田さん(2011年8月15日、市生涯学習センター)


 
原田要さん