034 飲む点滴 ~水に食塩と砂糖で 経口補水液を口に~

 点滴は、水分と、食塩などの電解質、糖分を含む注射薬を静脈内に少しずつ投与する方法です。「飲む点滴」とは、この注射薬を飲むのではなく、同じ成分に調整された液を飲むことです。この液は「経口補水液」といい、嘔吐、下痢、食欲不振、発熱などによって起こる脱水に使います。


 近年、発展途上国でコレラなどの急性下痢性疾患による脱水の治療のために、世界保健機関推奨の経口補水療法が用いられ、成果を上げました。日本では伝統的に、胃腸炎による脱水の治療や予防のために、重湯に少量の食塩を混ぜて飲む方法が用いられてきました。


 災害時の脱水に注意

 地震や集中豪雨などの災害時には、トイレの利用が困難なことが多いため、水分摂取を控えてしまうことから脱水を起こしやすくなります。また、災害用備蓄飲料が真水しかないため、食塩不足の脱水に陥っていることもあります。しかも、食塩をほとんど含まない水道水や清涼飲料水は体への吸収率がよくありません。目がくぼむ、口が乾く、ぐったりする、手足が冷たい、顔色が悪いなどの症状が見られたら、医療機関での診療が必要な危険な状態といえます。


 手作りできる補水液

 口からの水分補給に適した飲み物として、スポーツドリンクを思い浮かべる人も多いでしょう。しかしスポーツドリンクは、健康な人の通常の喉の渇きや、軽いスポーツ時の水分補給を想定して作っています。経口補水液に比べると、食塩濃度は3分の1から2分の1と低く、糖分は約2〜3倍と多い組成になっており、脱水状態の改善には向いていません。


34-iryou-1020p.jpg

 市販の経口補水液もありますが、ここでは簡便に作る方法を紹介しましょう。水1リットルに、食塩を3グラム(小さじ3分の1)と砂糖を40グラム(大さじ4と2分の1)を加えます。点滴が体に入っていくように、少量ずつ、時間をかけて飲んでいきます。


 経口補水療法の最大の目的は、体への水分と食塩の供給です。適切な食塩濃度の飲み物を選び、上手に飲むことが大切です。

(2012年10月20日号掲載)


=写真=薬剤科主任・栄養サポートチーム専門薬剤師 鈴木  英二



 
知っておきたい医療の知識