記事カテゴリ:

53 活文禅師の漢詩 〜「佐久間君」を海津城に送る〜

53-zozan-0929p.jpg

 佐久間象山が私淑していた活文禅師(当時54歳)は、啓(同18歳)=象山の青年期の名前=を招いて宴を開き、五言律詩を贈呈している。上田の龍洞院の資料にあり、紹介する(上田市真田の元教諭、岡村公雄さん(84)の解釈による)。


 送佐久間君帰海津城

朋友遠方来

相迎草戸開

留連情未儘(尽)

送別思悠哉

吾不餐霞子(さんかし)

只憐閑寂居

非維知己客

何問岩頭廬(いおり) 

山花乗暖開

幽鳥囀林来

相接佳賓履

高談笑満腮(あぎと)

幽野三間屋

寥寥在岩頭

遠方知己客

移履得相投

烟霞無限路

比去向山東

相送回頭処

鶯鳴幽谷中

 嵒門草廬(がんもんそうろ)

    文竹庵 草


佐久間君が海津城に帰 るを送る。

共に学ぶ友人が遠くから来てくれる。

粗末な門を開き、お迎えした。

去るにしのびず、思い悩んでいる気持ちが尽きない。

海津城に送る気になかなかなれないでいる。

私は霞を食べている仙人ではない。

ひたすら愛するものは、静かな粗末な家。

この私の心をよく知ってくれている友でなくては。

どうして、この河岸の家を気にするか、心配などしていない。

暖かくなれば、山は緑になり、花が咲き、山奥に住んでいる鳥も来て鳴く。

立派なお客にお出掛け頂いて。

辺り構わず、声高に話して顎が外れるほど笑う。

世の煩わしさを離れ、野原に建てた、たった3部屋の住まい。

静まりかえっている河岸の高台にある、この家に。

遠方より私のことをよく知っている友人に、来て頂いて意気投合。

あの煙だが、霞のかかっている遠い路を。

ここから別れて東の山の向こうに行く。

お互いに別れて行くが、いつも思い出すところ。

鶯が奥深い谷で鳴いている。

大日堂にて活文書。

(2012年9月29日号掲載)


=写真=青木村の大法寺所蔵

 
象山余聞