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07 北穂高岳〜槍ケ岳 〜難所大キレット通過 混雑する槍の往復〜

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 8月1日。きょうも快晴だ。朝、暗いうちに起きて御来光を見る人たちの物音でいつも目を覚ます。


 北穂高小屋での御来光は特別で、小屋を一歩出たテラスがビューポイントであり、しかも3000メートルを超えている。そして、大キレット-槍ケ岳へ続く厳しい稜線に所々霧がかかれば最高の写真が撮れるのだが、快晴では絵はがきのような面白みのない写真になってしまう。


 大キレットは西穂高-奥穂高間に劣らぬ難所であるが、所要時間は半分弱であり、その点難度が低い。最低鞍部までが大キレット中の最大の難所で、途中に「飛騨泣き」や「長谷川ピーク」がある。共にナイフリッジとなった岩稜を馬乗りになって通過したり、両側がスッパリ切れ落ちた岩稜を鎖や鉄杭を伝って進む。右下を見ても、左下を見ても、高度感がすごい。


 穂高の岩は硬いので、ホールド(手掛かり)やスタンス(足場)が意外と安定している。大キレットは登山者にとって憧れのコースだが、時間をかけて慎重に歩けば、岩稜縦走を楽しめる景色の良い穂高らしいコースだと思う。


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 私は出発前に、北アルプスを管轄する長野・岐阜・富山3県の遭難救助隊の電話番号を自分の携帯電話に登録してきた。救助を要請するときは、どこよりもまず該当県の救助隊へ連絡するのが大切で、この場所は右へ落ちれば長野県、左へ落ちれば岐阜県、北へ行って事故が起きれば富山県と、それぞれ一発で連絡できる用意も必要だと思う。


 最低鞍部からは急斜面の上りになる。数カ所に鎖がかかり、登り切ると南岳小屋だ。小屋の前に「ここより大キレット」の反対方面からの標識があり、ああ、これで穂高のヤマ場は越えたと安堵(あんど)感が広がった。


 岩屑のなだらかな道を南岳(3033メートル)、中岳(3084メートル)、大喰(おおばみ)岳(3101メートル)と3000メートル以上の山々を鼻歌交じりに気軽に歩けた。これも晴天で、槍ケ岳まで通じる登山道が見渡せたからだ。もしガスがかかっていたら、踏み跡をしっかり確認して歩かなければいけない場所だ。いったん、飛騨乗越(のっこし)まで下り、上り返すと槍ケ岳山荘の前へ出る。


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 槍ケ岳山荘は日本一有名な山小屋だろう。収容人員も650人で、増改築を重ね、尾根より建物の方が広いのではと思えるくらい、尾根上に覆い被さるように建っている。従って山荘内は、まるで迷路のようである。また、規模が大きいだけに、考えられる施設はほとんどある。軽食・喫茶コーナーでは、焼きたてパンまで販売していた。


 一休みして、槍ケ岳の頂上まで往復する。上り下り1時間のコースで、それぞれ一方通行になっていても、混雑のため予定以上に時間がかかってしまった。

(2012年11月3日号掲載)


=写真1=大キレット(手前)の向こうにそびえる槍ケ岳

 
北アルプス全山単独縦走