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09 黒部五郎小舎〜薬師岳山荘 〜咲き乱れる高山植物 眼下に黒部の源流域〜

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 8月3日は5時に朝食を済ませ、5時半に黒部五郎小舎を出発する。朝食は野菜の煮付け、焼き魚、スクランブルエッグ、ハム、焼きのり、そして漬物、みそ汁とご飯。バランスの取れた品数の多さがうれしい。朝は毎日ご飯を2杯、みそ汁2杯と無理しても多めに食べることにしている。


 小舎の前の草原で道は二手に分かれている。一方は稜線ルート、一方は五郎のカール(黒部五郎池)ルートである。私はカールの方を選んだ。このカールは黒部川源流の一角で、8月でも雪が多く残り、雪解けのそばから高山植物が競うように咲いている。コバイケイソウ、ハクサンフウロ、シナノキンバイなど、白・赤・黄と色とりどりだ。


 そんなカールの中を黒部五郎岳(2840メートル)に向かってジグザグに標高差300メートルを登る。最後はガレた急登で落石に気を付けて登った。残雪と岩場、そして花咲くカールの広大な眺めが印象的だった。小舎から2時間半で頂上へ着き、大展望を楽しむ。


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 黒部五郎岳から太郎平小屋までは多少の上り下りはあるが、比較的穏やかなコースだ。赤木岳(2622メートル)を過ぎると、右下に黒部の源流域が見える。源流は黒部の中・下流の激流のイメージとは違い、全く穏やかで美しい沢が多い。


 中でも、この赤木岳から流れ出る赤木沢は国内で指折りの美しい沢の一つに数えられている。北ノ俣岳(2661メートル)の頂上直下にはハクサンイチゲの大群落がある。一面、じゅうたんを敷き詰めたように咲いているのが見事だ。広々とした稜線を進むと、右手に薬師岳(2926メートル)が見えてくる。その山容は堂々として貫禄十分だ。


 太郎山(2373メートル)を越えると、太郎平小屋に着く。この小屋は北アルプスの深部へと続く分岐にあり、名峰の数々へと続く富山県側の玄関口だ。富山県山岳警備隊も常駐している。稜線上にもかかわらず、太郎山に湧く水は豊富なので腹いっぱい水を飲ませてもらった。


 予定ではこの小屋に泊まることになっていたが、時計を見るとまだ13時を少し回ったところなので薬師岳山荘まで行くことにする。予定時間は2時間半だ。20分ほど離れたテント場を通過し、一部水が流れる沢状の岩のゴロゴロした登山道を急登する。再び平らになり雪が多く残る。先ほどの水の流れは、この雪解け水だった。いよいよ薬師岳の頂上が見え始めるころ、その中腹に薬師岳山荘が見える。


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 山荘に着き受け付けをしていると、主人が熱々の番茶を出してくれた。何とおいしいことか。まさにウエルカム・ティーである。心に染みるサービスとは、このようなサービスだと感激した。


 この山荘は2010年に改築したばかりで、薬師岳山頂まで1時間。気軽に山頂から美しい御来光が拝めるが、どの部屋にも大きい窓が設けられていて、山荘の中からも御来光が拝める。さらに西側の窓からは日本海を見ることのできるぜいたくな山荘だ。

(2012年11月17日号掲載)


=写真=目を見張るハクサンイチゲの大群落


 
北アルプス全山単独縦走