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19 北国街道 黒姫山 〜山頂に古色蒼然たる石祠〜

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 秋色の黒姫山(2053メートル)に登る。10月7日早朝、信越線黒姫駅で降り、信濃町主催の秋山登山の一行に加わった。


 黒姫山は黒姫弁財天を奉祀することからその名があり、戸隠側の西登山道から外輪山の西端を目指す。雨乞いで名高い種池に立ち寄り、古池から秋の彩りを見せる山腹を緩やかに登る。


 1時間半ほどで大ダルミに着き、大休止。ここには「戸隠竹細工の森」の案内板があり、江戸時代からの名産、竹細工の材料となる根曲り竹の産地であることを今に伝えている。


 展望はないが、色づき始めたブナやダケカンバを楽しみながら足を運ぶ。やがて急登となり、ヒンヤリとした秋風が肌に感じられると一気に展望が開け、真赤なナナカマドのお出迎えである。ここは外輪山稜線の取り付きで思いきり深呼吸をし、北の小黒姫山(2046メートル)と南の大パノラマを堪能する。


 気力は満ち、足取り軽く稜線を東に向かう。小さなアップダウンを繰り返すと鞍部に着き、岩場を経て一気に登頂。山頂の古色蒼然とした石祠=写真上に写経を納誦。昼餉の後、戸隠、飯縄、斑尾、妙高の4岳を一望しながら想いを山伏の世界に馳せる。


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 「戸隠山顕光寺流記」(1458年)には「当山四至界之事北限黒姫境宮也」と記され、黒姫山は聖地戸隠の北の固めであった。また南麓の戸隠道は妙高関山山伏と戸隠山伏との交流路であった。「南無戸隠山三所権現」


 下りは表登山道からゴールの黒姫童話館に向かう。優しい山容から「信濃富士」と呼ばれるが、標高差1300メートルは難路の連続である。巨石と木の根を頼りの慎重な足運びを重ね、トドマツ、ダケカンバ、カラマツと林相の移り変わりにも目をくれずに日の出石まで下り、大休止。


 信濃町による黒姫山登山は「登姫の会」の力強いサポートにより毎年続けられている。会計責任者の大島格(いたる)さんは「一茶も愛した黒姫山は故郷の誇り。1980(昭和55)年から春、秋の山行を支えており、次の若い世代にきちんと引き継いでいく」と熱く語った。


 ここからは単調な道となり、七曲がりを経て、黒姫童話館に到着。秋暮の中、端座する黒姫山に般若心経を奉誦して無事な一日の納めとした。

 〈霞むやら 雪のふる山 故郷山〉   一茶

 次は上田市真田地区から芝峠を経て坂木(城)宿へ歩く。

(2012年11月10日号掲載)


=写真2=「信濃富士」とも呼ばれる黒姫山

 
絆の道