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43 「さらば友よ」(1968年) 〜画面にたばこが消えたが

 Q 最近、映画の中でヒーローがたばこを吸わなくなったのはなぜですか?


 A たばこの健康に与える悪影響が明らかになってから、たばこの広告が規制されるようになったのはご存じだと思います。今では、必然性のない喫煙場面を含む映画は、アメリカ映画協会から一般向け「G」という認証を受けることができません。


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 米国疾病対策センターの報告によると、2005年には、全米ヒットを記録した映画の約3分の1にたばこが登場していましたが、10年にはヒット映画の半数以上でたばこが登場する場面は全くなくなっており、10代の喫煙の減少と一致したというのです。


 こうした取り組みは世界的傾向で、中国などでも映画の中の喫煙場面はなくなりつつあります。日本でも、JT(日本たばこ産業株式会社)が制作に協力した映画『西の魔女が死んだ』は、「原作にない喫煙シーンが挿入されており、子どもの喫煙開始を促進する恐れが強い」として、日本禁煙学会から抗議を受けています。


 というわけで、ヒーローが格好よくたばこを吸うシーンは、成人映画か昔の映画の中でしか見られないのです。


懐かしの映画のたばこの名場面といえば、こんなシーンはいかがでしょうか?


 警官の吸おうとするシガレットを横取りして口にくわえたチャールズ・ブロンソンが手錠につながれていない方の手でポケットを探りますが、マッチもライターもない。連行されていく擦れ違いざま、アラン・ドロンがマッチの火を差し出す。その火を手で囲い、受け取るブロンソン。共犯関係を疑い、2人の間で交わされるはずの会話を聞き逃すまいと見つめる刑事。しかし、2人は一言も交わすことなく、ブロンソンはドロンを残して通り過ぎていく。そして、その時...。


 団塊前後世代の読者なら思い出す方も多いでしょう。『さらば友よ』(1968年、仏)です。


 謎の女性の頼みで、ある会社の健康診断医となって、金庫を開けようとするアルジェリア帰りの軍医(ドロン)が、同じ帰国船に乗り合わせた米人傭(よう)兵(ブロンソン)と金庫室に閉じ込められて...というお話。『禁じられた遊び』の名子役ブリジット・フォッセーが大人となって色を添えています。監督はジャン・エルマン。


 この映画のラストを10代の少年少女がまねても様にはならないので、若年者の喫煙増加に直接結び付く危険は少なかろうと思い、ご紹介しました。なお、愛煙家の皆さまには、早めの禁煙をお勧めします。

(2012年11月3日号掲載)


=写真=『さらば友よ』ユニバーサル映画100周年企画シネマコレクション 発売元/ジュネオン・ユニバーサル・エンターテインメント 1500円

 
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