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11 五色ケ原〜雄山 〜眼下に室堂平を一望 立山の主峰に峰本社〜

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 8月5日。天気予報は晴れのち曇り、夕方には雨となっている。山では予報より早めに雨が降るので、そのつもりで行動することにする。


 五色ケ原は立山の火山活動でできた溶岩台地だ。ハイマツの原の所々に溶岩で固まった黒々とした岩が露出している。この火山活動の中心は室堂平で、みくりが池、みどりが池、りんどう池などは、皆火口の跡だ。室堂平の地獄谷では今も噴気が続き、温泉が豊富に湧き出している。地獄谷は最近、活動が活発になり、今は立入禁止となっている。


 従って五色ケ原は地質がもろく、一部は土砂が崩れ落ち、今も拡大を続けている。登山道の脇には何キロにもわたって太い材木が打ち込まれ、大規模な砂防工事が行われていた。


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 五色ケ原からザラ峠(2348メートル)へ下り、獅子岳(2714メートル)まで標高差366メートルを一気に登る。そして鬼岳(2750メートル)、龍王岳(2872メートル)、浄土山(2831メートル)を経て、室堂からの大勢の人たちでにぎわう一の越に10時ごろ到着する。


 この間は、雪渓のトラバースや、それぞれの峰と峰との間の鎖やはしごを使った登り降りの繰り返しで、難所は少ないけれど体力的にはきつい5時間だった。


 ここに立つ「一の越山荘」は立山登拝の最前線基地となる小屋で、立山信仰の総本宮・雄山(おやま)神社に一番近い小屋だ。左下には剣・立山連山の懐に広がる室堂平がパノラマのように見える。


 室堂平は大町市と富山市からケーブルカーやバスを使って、ほとんど歩くことなく、約2時間半で到達できる。標高2450メートルの雄大な山岳景観と豊かな自然が楽しめる高山植物の宝庫で、北アルプス随一のライチョウ生息地としても有名である。


 一の越山荘からは急登1時間で主峰・雄山(3003メートル)へ登ることができる。山頂には、社務所右手の一段高い岩峰上に岩峅寺(いわくらじ)・芦峅寺(富山県立山町)にある雄山神社の峰本社が祭られている。学校登山の中学生や一般登山者が大行列をつくり、鳥居の前や社務所の前がごった返している。


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 立山は富士山、白山と共に「日本3霊山」の一つ。富山では「男子16歳にして立山に登らざれば、一人前にあらず」といわれ、今でも学校登山が盛んだという。毎年7〜9月の間、山頂直下の社務所には雄山神社の宮司や巫女たちが泊まり込みで滞在し、信者たちを迎えている。


 開山は奈良時代以前にさかのぼり、平安時代の初めには既に修験者が入山。その後、立山権現として鎌倉、室町時代に各地に信仰が広まり、江戸時代には加賀藩・前田家の庇護を受けて全盛期を迎えた。今も私の目の前で3人の白装束の修験者の吹く法螺貝の音が峰々に響いている。


=写真=登山客でにぎわう雄山の社務所前

 
北アルプス全山単独縦走