037 認知症の予防 ~2つの病気で8割余 人生の楽しみ発見を~

 人は誰でも年をとると脳の機能が低下してきます。「認知症」とは、脳機能の低下がそうした加齢に伴うものより速く進行し、その結果、日常生活に支障を来すようになった状態を指します。


 現在、要介護認定を受けている人の約半数は認知症患者ですし、今後高齢者の増加に伴って認知症患者はさらに増加すると予測されています。認知症の予防は世界的にも大変重要な課題です。


 認知症を起こす病気

 認知症を引き起こす病気は数多くありますが、アルツハイマー病、脳梗塞、レビー小体型認知症、慢性硬膜下血腫などが主なものです。認知症患者の5〜6割がアルツハイマー病、約3割が血管性認知症(主に脳梗塞による)ですので、この2つの病気だけで認知症患者の8割以上を占めることになります。


 脳梗塞は高血圧症、糖尿病、高脂血症や心臓病が原因となって起こるので、これらを予防あるいはコントロールすることで、血管性認知症の予防ができます。


 アルツハイマー病予防

 ではアルツハイマー病はどうでしょうか。まだ明らかな原因が分かっていませんので、脳梗塞のように確かな予防法は確立していません。しかし最近の調査で、アルツハイマー病になりやすい人、なりにくい人が分かってきました。


 食事の摂取カロリーが多い人(特に脂肪を取りすぎる人)、コレステロール値の高い人、喫煙者、多量に飲酒する人、精神的ストレスの多い人、うつ病の人、社会的に孤立した人、ある種の異常遺伝子を持った人が、アルツハイマー病になりやすいというデータが出ています。


 一方、適度な運動をする人、趣味を楽しんでいる人、ビタミンEを食事から多く取る人、適度にお酒を飲む人では、アルツハイマー病発症者が少ないという結果も出ています。


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 なんと、これらは生活習慣病になりやすい人、なりにくい人のデータとかなり一致するもので、専門家にとっても驚くべきものでした。各人に合った人生の楽しみ方を見つけることが、病気にならないこつのようです。

(2012年12月15日号掲載)


=写真=山本 寛二(神経内科部長=専門は神経内科領域全般)


 
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