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44 「天使の贈り物」(1996年) 〜幸福になれるXマス映画

 Q クリスマス映画を見ると、幸福な気分になるのはなぜでしょうか? 

 A 例えば、ハロウィーン映画の場合、お化けや魔女、吸血鬼などが登場するのが定番です。


 クリスマス映画の特徴は何でしょう。クリスマス映画には2種類あるように思います。一つは、単にクリスマスという季節や行事が舞台設定に使われているもの。例えば、『ダイ・ハード』みたいなものですね。


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 もう一つは、特定の宗教性を超えて「クリスマスの精神」、すべての命に対する肯定と広義の家族的な愛への思いを語るものです。『素晴らしき哉、人生!』『クリスマス・キャロル』『ラブ・アクチュアリー』などですね。


 でも、この二つを厳密に区別することは不可能です。例えば、凶悪なサンタが登場する惨劇みたいなものはともかく、アクション映画の場合でも、日々の仕事や憂いの中で絆を失いかけた家族がクリスマスに何かの事件を契機に、お互いの掛け替えのない存在に気付き、大切なものを見つけるといったメッセージが埋め込まれているのが普通です。


 クリスマス映画が心地よく、幸福な気分にさせてくれるのは、それぞれの映画が示す「生きているって、素晴らしい」という「クリスマスの精神」が心を温めてくれるからなのではないでしょうか。


 1947年、ケーリー・グラント主演、ロレッタ・ヤング、デビッド・ニーブン共演のロマンティク・コメディ『気まぐれ天使』を、アフリカ系アメリカ人の家庭に置き換えてリメークした『天使の贈り物』(1996年)もそんな作品です。


 クリスマスを目前にビッグス牧師(コートニー・B・ヴァンス)は教会の財政難に頭を抱え、もはや神に救いを求めるしかありません。そんな時、ダドリー(デンゼル・ワシントン)という男がふらりと現れ、牧師の仕事を手助けし始めます。どういうわけか、彼が関わると何もかもうまくいき始めるのです。


 でも、牧師の妻ジュリア(ホイットニー・ヒューストン)となにやら微妙な雰囲気に...。牧師は気が気ではありませんが、実はダドリーも困っていたのです。なぜなら、彼は天使なのですから。さて、牧師一家のクリスマスはどうなるのか...。


 今年急逝したホイットニーの追悼番組で放映された『ボディガード』は好きではないという人も、ペニー・マーシャル監督のこの作品ならきっと好きになるはずです。彼女の音楽の原点は教会。スピリチュアルなその歌声の中に、あなたの天使の存在が実感できるかもしれません。

(2012年12月1日号掲載)


『天使の贈り物』 発売元/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 1500円


 
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