記事カテゴリ:

14 ロッジくろよん〜奥黒部ヒュッテ 〜平の渡しで対岸に 北ア最奥の秘境へ〜

14-alps-0101p.jpg

 きのう(8月6日)、遅くにロッジくろよんに着いたが、前もって電話を入れておいたので、ほかの宿泊者より遅れたがおいしい夕食を用意してもらえた。


 ここは黒部ダムから歩いて30分のダム湖畔にある民宿のような山小屋だ。夏の観光シーズンには、黒部の大自然と涼を求めて来る観光客も多いという。


 また、黒部ダムから黒部峡谷の「下ノ廊下」へ下る登山者が、扇沢のアルペンルートから入る場合、始発前に出発できるので前夜泊するケースが多い。


 従って部屋は普通の旅館と変わりなく、タイル張りの風呂にも入れる水の豊富な小屋だ。


 8月7日。夜半までかなり強くトタン屋根を打っていた雨もやみ、青空が見え出したので7時半に出発した。青々とした水を満々と蓄えたダム湖沿いに、上流を目指して歩く。水際を淡々と歩くコースを想像していたが、ダムに注ぐ激流や断崖を高巻きして道が付けられているので、意外に上り下りが多く複雑な道だ。4時間で「平ノ渡し場」に着く。


14-alps-0101m.jpg

 こんな黒部の山奥に渡しがあることを、以前から不思議に思っていた。しかも舟代は無料だ。そのわけは? ダムができる以前に「平の渡し」という橋があったという。その橋を渡って、奥黒部方面や船窪岳・針ノ木岳へ行く登山道があったが、ダムにより橋が水没してしまい途切れてしまった。そのため関西電力の補償によって、登山者に無料で渡し舟を提供しているのだ。1日4回、約2時間ごとに無休で運行している。


 約20分で黒部湖を渡り、左手に針ノ木岳・船窪岳方面への道を見送って奥黒部への一本道を歩く。この道の先は読売新道か「上ノ廊下」しかないという奥地で、黒部源流への沢登りを目指す登山者のほか、渓流にイワナを求める釣り客だけが訪れる、北アルプス最奥の静かな秘境だ。


 アップダウンの激しい湖岸沿いの道を歩く。丸太でできたはしごや、流れ込む支流に架けられた3、4本の丸太の橋がよく整備されている。途中で道普請に入っている関電の下請け土木会社の4、5人の人たちと3回も出会った。ダムの管理道路として、多くの人の努力によって整備され、電力が確保されていることを実感した。


 道は1時間ほど黒部湖沿いに続き、その先は黒部の流れに変わる。さらに何回か黒部川に架かった丸太の橋を渡ると、樹林の中にある奥黒部ヒュッテに着く。このヒュッテには北アルプス一を誇る豊富な水源があるので、風呂、水洗トイレ、洗濯機と、水には不自由しない。宿泊客も少ないので、ゆっくりと入浴でき、洗剤やリンスも備え付けられている。今回の縦走で洗濯機の使える唯一の山小屋だった。

(2013年1月1日号掲載)

 
北アルプス全山単独縦走