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017 ドイツ 美しの泉とクリスマス市 〜見どころ多いニュルンベルク〜

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 "神聖ローマ帝国の小さな宝石箱"とたたえられるニュルンベルク。人口は約50万人でミュンヘンに次ぐバイエルン州第2の都市だ。


 オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」や、ナチスの「ニュルンベルク裁判」、ドイツ絵画の巨匠デューラーの家、高台にある皇帝の居城「カイザーブルク」など名物・名所は枚挙にいとまがない。


 約5キロの城壁に囲まれた旧市街は、中世の色が濃く残される独特の街だ。中央駅を降り、真ん前の城壁をくぐると「中世職人広場」が待ち受ける。中世には職人がこぞってこの街に押し掛けるほどのにぎわいだった名残を見せる。


 そこから400メートルも行けばローレンツ教会が現れ、その広場には焼きソーセージの屋台がずらり。香ばしい匂いが私たちの胃袋を刺激する。ソーセージで名高いドイツでも、ここの焼きソーセージは一目置かれる味だ。


 さらに150メートルほど歩くと、14世紀に皇帝カール4世が寄贈した、芸術性豊かなフラウエン(聖母)教会が姿を現す。街の中心・ハウプトマルクト中央広場にあり、フランケン地方最古のホール状の教会だ。もともとはユダヤ人居住区の破壊を許可したカール4世が、謝罪のために寄贈した「贖罪(しょくざい)の館」とも呼ばれている。


 その広場中央にシェーナー・ブルンネン(美しの泉)=写真=がある。八角形の水盤に置かれた高さ17の豪華なゴシック式噴水塔で、この街最古の管状の噴水だ。4段に配置された像は、豪華な紋様で覆われている。1段目には芸術と哲学関係の7人。中段にはシーザーら古代の英雄が16人。最上段にはモーゼら8人が並ぶ。


 継ぎ目が見当たらない、不思議な金の輪が柵の間にあり、それを左に3回まわす間に願い事をするとかなうという。この塔を造った親方の弟子が、親方の娘との結婚がかなわなかったため輪をはめ込んで去ったというエピソードが残る。


 近くで見ていると、観光客や市民がひっきりなしに祈るように金の輪を回していた。私も御利益にあずかろうと、心の中で祈りつつ金の輪を回してみた−「この先もニュルンベルクに来られますように」。


 この一角は冬になると、再び世界中から注目される。それは、クリスマス4週間前の金曜日からクリスマス・イブの24時まで、大規模な「クリスマス市」が開かれるからだ。


 もともと、クリスマスはイエスキリストの生誕の日とは無関係で、古代ドイツの祭りがこの時季にあったことなどが複合されて12月25日になった歴史がある。特にドイツ国内やニュルンベルクでは、特産の桃人形やツリー飾りが飛ぶように売れる。


 食べ物では、焼きソーセージや温かい香料入りのコケモモ酒のグリューバインがおいしい。定番では、香料入りクッキーのレープクーヘンだ。市民らが立ったままでしきりに舌鼓を打つ。白い息を吐きながら家族で楽しむ光景がよく見られる。

(2013年1月19日号掲載)

 
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