038 急性心筋梗塞 ~強い胸痛伴う発症 救急外来の受診を~

 心臓から大動脈に送り出された血液は様々な枝を介して全身に供給されていきます。このうち、最初に分岐する2本の枝は心臓自身が動くための血液を供給する枝で、冠動脈といいます。


 ポンプである心臓は休むわけにはいきませんから、冠動脈による血流供給は欠かせません。これが詰まってしまったら大変です。動脈硬化が進んで血栓ができ、冠動脈が閉塞すると血流が絶たれ、その先の心筋(心臓の筋肉)は死んでしまいます。これが急性心筋梗塞で、強い胸痛とともに発症します。


 死んだ心筋は再生しません。また重篤な不整脈や心破裂などの急性期合併症により、最先端の治療を行っても院内死亡率は1割に上ります。病院到着前の死亡率はもっと高いと推定されます。


カテーテル治療

 急性期治療の目標は、できるだけ早く閉塞した冠動脈を再び開通させること(再灌流)、急性期の合併症を予防することです。


 再灌流のためには多くの場合、緊急でカテーテル治療を行います。手首または鼠径部の動脈から挿入した細い管(カテーテル)を介して、冠動脈の閉塞部にたまった血栓を吸引し、細い風船で広げ、ステント(金属の網の筒)を留置します。カテーテル治療の後、集中治療室に収容して合併症予防に努めます。


 傷害される心筋を少しでも減らすことを目指して、私たちは再灌流までの時間の短縮に努力しています。平日はもちろん、夜間や休日も迅速な対応ができるように十分な態勢を整えています。強い胸痛が長引いたら、遠慮なく救急外来を受診してください。


生活習慣の改善を

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 さて、「壊れてから治す」のと「壊れないようにする」のと、どちらがよいでしょうか。動脈硬化を進める「冠危険因子」として、喫煙、糖尿病、脂質異常症、高血圧症の4つが挙げられます。それらの治療は食事療法が中心で地味です。しかし「壊れてから治す」よりも「壊れないようにする」ために、日々の病気にならない生活習慣の積み重ねを大切にしましょう。

(2013年1月26日号掲載)


=写真=丸山 隆久(循環器内科部長=専門は循環器一般)

 
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