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018 ドイツ レーマー広場 〜第2の都市は商業・文化の街〜

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 小さいころの体験が人生を決める-そんな生き方をしている日本人CA(客室乗務員)がいる。2011年7月、成田発〜ミュンヘン行きのルフトハンザ・ドイツ航空に乗務していた北林美代子さん=写真下(右)。フランクフルトに在住している。


 彼女は中学2年の時、姉と2週間ドイツにホームステイした。頑固だが堅実で心底温かい人たち。それに魅せられ、幼い夢を実現して長年ルフトハンザ・ドイツ航空でフライトしている。「日本もいいけど、フランクフルトは住み良いの」


 アメリカ人がよく使うジョークに「イギリス人は味音痴。オランダ人はけち。ドイツ人はユーモアを解さぬ田舎者」というのがある。一概には言えないが、アメリカ人だって「新しいものに飛びつくうつけ者」などとフランス人が批評する。


 私には、大学を卒業後ドイツに留学したまま、現地で就職してもう16年になる甥(おい)がいる。居心地がいいようで「確かに頑固。でも合理的にものを考え、家庭を大事にする姿勢は日本人も学ぶべきだ」と弁護する。北林さんもその居心地の良さに、故国日本とドイツを何度も往復している。


 ドイツ第2の都市フランクフルトは、かつてはフランク王国と神聖ローマ帝国の中心地だった。ドイツにはフランクフルトという名の街が2つあり、ここは「フランクフルト・アム・マイン」(マイン川沿いのフランクフルト)が正式名称だ。


 日本からのフライトが多いのは、ここが国際金融都市として活況を呈し、EUの優等生・ドイツの屋台骨を背負っているからだ。国際モーターショーなど世界最大の見本市メッセが開かれ、毎年150もの展示会などで1000万人以上の人を集める大都市だ。


 同時に、文化や芸術の街でもある。文豪ゲーテも、『アンネの日記』の作者アンネ・フランクも、ここの生まれ。フランクフルト・ソーセージとして日本でも知られる大きな腸詰めは、正しくはフランクフルター=Frankfurterという。地元ではヴルストと呼ぶソーセージは、熱々でパンに挟むのが最高。ホワイトソーセージは日本ではなかなか味わえない絶品だ。


 見どころで私の一番のお気に入りは、レーマー(旧市庁舎)広場。レーマーとはローマ人に由来し、3つ並ぶ階段模様の切り妻屋根のゴシック様式の建物が美しい。中央の大きな館内部には、神聖ローマ帝国皇帝の戴冠式の祝宴を開いた皇帝の間(カイザー・ザール)があり、52人の歴代皇帝の肖像画は圧巻。


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 その広場の中央には正義の女神ユスティシアの像がある=右。英語のジャスティス=justice(正義)と同じ語源だ。彼女が左手にかざすのは、天秤。公正を天秤にかけているところから、裁判所などに多く見られる。


 日本では「天秤にかける」というと、ご都合主義に取られがちだが、ここでは純粋に公正の証しだ。今でも筋を通し時間や約束に厳格なドイツの人々と、日本人とは基本的に相性がいいのだと訪れるたびに感じるのは私だけだろうか。

(2013年2月2日号掲載)

 
ヨーロッパ美の旅