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019 ドイツ オーバーアマガウ 〜村中の家屋にフレスコ画〜

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 「まあ、なんてかわいい村なんでしょう」。ツアー参加者から口ぐちに、こんな言葉が飛び出した。


 ここは、南ドイツの最南端、オーストリアと目と鼻の先の小さな村オーバーアマガウで、アルペン街道の中間地点。山間部のため観光客は10年に1度の一時期以外はまばらだ。


 しかし、訪れるとため息が漏れるほどのかわいさだ。それは村中の家屋に描かれたフレスコ画の数々。「フレスコ画の中に村がある」と形容されることもある。グリム童話に登場する「赤ずきんちゃん」をはじめ、「ヘンゼルとグレーテル」「七匹の子山羊」などが撮影スポットだが、圧倒的に多いのは宗教画。それには訳がある。


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 猛威を振るったペストの流行が1632年に終息したのを感謝して34年から10年に1度、村人が総出で「キリスト受難劇」を上演している。かれこれ380年の歴史がある。この劇を目当てに、この時期だけはわずか人口5000人の村に世界中から50万人以上が集まってくるという。次回の第42回は2020年だ。


 私たちが訪れたのは昨年10月末。木々の黄葉が美しい晩秋だった。私は1年に2度ほど地元の旅行会社の依頼で、ヨーロッパツアーのガイド役を務めているが、今回のドイツの旅に参加した15人全員がこの村の美しさを絶賛した。なかなかないことだ。


 この村の小さなメーンストリートはドルフシュトラッセ(村通りの意味)。ほんの500メートルほどだが、建物の外壁にフレスコ画でおしゃれしたレストランや土産物店と共に目を引くのが木彫りの店。作品はキリストの生誕を再現した物が中心だ。私は子どもがスキーをしているミニサイズの人形を5ユーロで買った=写真下の上段。何しろ、どこを歩いてもさながら屋外美術館のようだ。優しい色のフレスコ画で埋め尽くされている。


 このツアーに千曲市から参加した女性は「オーバーアマガウに魅せられ、初めてのドイツ訪問に夢中になりました。帰国後、自宅でスケッチをしたり、地元の会合で土産話をさせられているけれども、オーバーアマガウをはじめドイツがこんなに美しいとは想像もしていなかった」と、麗しきドイツの余韻に浸っている。

(2013年2月9日号掲載)


=写真=家屋の外壁に描かれたフレスコ画

 
ヨーロッパ美の旅