039 思春期痩せ症 ~女子中学生の5%に治療は自主性尊重で~

 食べることを拒否したり極端に偏った食事の取り方をしているため、非常に不健康に痩せている小中学生の子どもが増加しています。摂食障害といわれる病気です。


 小児科診療では、拒食症あるいは神経性食欲不振症といわれるものが主で、小学校高学年から中学生の女子に多くみられるため、思春期痩せ症ともいわれます。不健康な痩せということでは、女子中学生の20人に1人、実に5%ともいわれます。アジアの中でも日本ではこの20年間で約10倍に増加し、国際的にも注目されています。


 危険な体重減少

 小児では、以下の3つを満たすと神経性食欲不振症と診断されます。(1)頑固に食べることを拒み、極端に食べる量を減らす(2)年齢相応の体重増加がないか、体重減少がある(3)体重へのこだわり、カロリー摂取へのこだわり、自分の体に対しゆがんだイメージを抱く、肥満恐怖、自己誘発嘔吐、過度の運動、下剤の乱用-のうち2つ以上がみられる。要するに成長期の子どもの偏った食事や体重減少は要注意なのです。


 症状としては、体重減少のほか、低体温や徐脈(1分間の脈拍数が50台前半以下)があり、学校の身体測定や健診で発見されることもあります。


 周囲の気付きが大切

 本人は体調不良を訴えることがほとんどないため、まず周囲が疑うことが大切です。「食べなくても元気だから大丈夫」と思うのは危険です。特に小学4、5年の前思春期に発症した場合は、低身長などの成長障害を起こす場合があります。


 治療は身体面が最優先です。徐脈や低体温が著しく重症な場合は入院治療が原則です。患者自身の治療に対する意欲が乏しかったり、逆に治療に拒否的態度を示す場合もありますが、本人の自主性を尊重し、保護者と協力しながら周囲が連携して温かくみていく姿勢が基本です。


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 思春期痩せ症のほかに、近年6、7歳くらいの年少例で食べずに痩せてくる子どもがいます。背景には、抑うつ状態や発達拒否が考えられる場合があります。「食物回避性情緒障害」などといわれるものですが、中には食べることだけでなく、歩くこと、話すことなどあらゆる行動を拒否する「広汎性拒絶症候群」といわれるものもあり、摂食障害という疾患の持つ根深さを表しています。

(2013年2月2日号掲載)


=写真=青沼  架佐賜(小児科部長=専門は発達、神経、循環器、心身症)


 
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