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22 唐松岳〜白馬岳 〜難所の不帰嶮越え 雨で天狗山荘に宿泊〜

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 8月15日。唐松岳頂上山荘で5時半に朝食を済ませ、6時半に出発する。きょうの縦走路にはきのうの八峰キレットと並ぶ、稜線がV字型に深く切れ込んだ「不帰嶮(かえらずのけん)」がある。


 山頂小屋から40分で唐松岳の頂上(2696メートル)を経て、3つのピークからなる不帰Ⅲ峰を上り下りし、さらに2つのピークからなる不帰II峰を越えると、後立山連峰の中でも1、2を争う難所の不帰嶮にかかる。黒々とした岩壁の不帰I峰との間で、今は鎖やはしごが整備されている。慎重に3点確保の基本を守り、怖い部分もあったが無事に不帰I峰に着く。さらに天狗ノ大下りの標高差400メートルを登って、天狗ノ頭(2812メートル)に着く。


 このころから霧がかかって雨模様となり、気温も下がってきた。3000メートルの稜線での雨の怖さは十分に知っている。夏山でも低体温症で死に至る遭難が、たびたび報道されている。きょうは、ここから3時間先の白馬岳まで行く予定だったが無理せずに、まだ午前中だが間近の天狗山荘に逃げ込むことにする。


 ここには山荘の前に「天狗池」があり、周辺は高山植物の宝庫で、コマクサや白馬岳固有のウルップソウが有名だ。ここから鑓(やり)温泉へ少し下った所にある大出原(おおでっぱら)は、お花畑が売り物の白馬連山の中でも最大のスケールを誇る場所だ。来年は写真でも撮りに、ゆっくりと訪れたい。


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 天狗山荘の名物は、夕食に出される「天狗鍋」だ。北アルプスの山荘で鍋料理が出るなんて考えられない。温泉地の宴会で出てくるあの鍋! 1人用のコンロの上の燃えない紙の中に魚のだしで野菜が程よく煮え、食べるとほっと落ち着く家庭的な味だ。また、雨でぬれた衣服を乾かすために、乾燥室ではストーブをガンガン焚いてくれた。


 8月16日。きのうの雨も夜半にやんだため、まだ薄暗いうちに出発する。間もなく白馬鑓温泉への分岐を右手に見て直進する。鑓温泉は秘湯中の秘湯。小屋に泊まって、日の出を眺めながら入る温泉は格別とか。時間帯によって露天風呂も女性専用の時間があるが、テント場からは丸見えなので、自信のない方は水着か大きめのタオルが必要?とのこと。


 鑓ケ岳(2903メートル)、杓子岳(2812メートル)を登り、村営白馬岳頂上宿舎を過ぎ、白馬山荘で朝食とする。収容人員は頂上宿舎が400人、白馬山荘が800人、合計1200人が宿泊できるという。白馬岳がいかに人気があり、大勢の登山者が押しかけるかがわかる。しかも定員の2倍の登山者を受け入れたことがあったそうだ。


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 そんな大規模な小屋はまさに山岳ホテルの雰囲気で、雲上のレストラン「スカイプラザ」で遠くの山を眺めながら、のんびりとケーキとコーヒーを楽しんだり、ツインベッドの特別室もあるという。

(2013年3月2日号掲載)


=写真=お花畑から白馬岳を望む

 
北アルプス全山単独縦走