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23 白馬岳〜朝日小屋 〜目に付く山ガール 6人遭難死の現場も〜

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 槍、穂高に次ぐ人気の白馬岳に来ると、登山者の姿が急に多くなる。特に山ガールが目に付く。最近のスタイルの特徴は、機能性の高いタイツの出現による。レインボーの縞々や水玉模様のタイツの上に、ミニの巻きスカートやショートパンツスタイルのガールが闊歩している。


 休憩中に会った本格的山屋スタイルの旧山ガールから「あんな短いスカートで鎖やはしごの後から付いていって、上を見れば女性でさえ目のやり場に困るけれど、おじさんたちはどうなの?」と問い掛けられた。「それはあのー、そのー、ムニャムニャ...」としか答えようがない。


 色も派手で、帽子から靴の先まで全てショッキングピンクで統一したガールにも出会った。さすがにミニスカートははけないお年頃の旧山ガールも、ほとんどの人が山岳雑誌から抜け出てきたように素敵に決めている。街で出会えばチンドン屋と見間違うような色合わせも、大自然の中では違和感がなく、広大な緑と調和しているのが不思議だ。


 白馬岳の頂上(2932メートル)を8時30分に通過、相変わらず大勢の登山者でにぎわっている。そこから40分で三国境に到着。ここは昨年5月5日に北九州市の医師ら男性6人が低体温症で遭難死した現場だ。周りには風雪を遮るものが何もない。吹きっさらしの稜線だ。


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 白馬山荘へは1時間、白馬大池小屋まで下るには2時間の場所。一行は白馬山荘へ行こうとしたのだろうけれど、標高が上がると厳しさが倍加するのが3000メートルの世界だ。体感温度は標高100メートルで1度、風速1メートルで1度下がる。私なら小屋まで倍の時間がかかっても、標高の低い方の小屋へ逃げる。山では頑張ってはいけない。


 三国境で白馬大池への道を右に分けると、行き交う人影は急に少なくなる。縦走路にはハイマツと高山植物の群落以外は何もない。これから歩く登山道がずっと遠くまで見渡せ、進行方向の赤い目印もはっきりと分かる。


 鉢ケ岳を右に巻いて進むと、雪倉岳(2611メートル)の避難小屋が現れる。なかなか立派な小屋だ。風も強いので小屋の中で昼食とする。そして雪倉岳への上りにかかる。振り向けば、背後に白馬岳や清水(しょうず)岳の展望が広がる。


 この辺りは日本でも有数の豪雪地帯で、北アルプス南部と違って各所に雪渓が残っている。豪雪のためだろうか、高山植物の色が特別に鮮やかだ。そして、もう秋の花に変わってきている。ベニバナシモツケソウ、トウヤクリンドウ、タカネナデシコ、マツムシソウ、入山時に満開だったチングルマは長毛が生えて羽毛状になっている。雪倉岳の頂上でひと休みし、湿原状の小桜ケ原に出て水平道を歩き、朝日小屋に着く。

(2013年3月9日号掲載)


=写真=三国境より左手前が雪倉岳、右は朝日岳

 
北アルプス全山単独縦走