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11 アウグスティヌスと行いの基本 〜及ぼす影響深く広く考えて行動〜

 前回のアウグスティヌスの続きです。

 「それをしたら、後がどうなるか分かる?」と言いたくなるような、子どもの衝動的な行動に頭を悩ませることがありませんか?


 例えば、街を歩いていて、ペットショップのショーウインドーにかわいい子犬がいたとします。お子さんに「かわいい〜、ママ、このワンちゃん買って!」とねだられ、「自分で面倒見られるの?」「うん、ちゃんと世話するから」というような会話がひとしきり続いた後、犬を買いました。


 「愛しなさい」とは?

 飼い始めてはみたものの、当の子どもは最初のうちだけ。やがて、世話に飽き、いつの間にか餌やりも、散歩もお母さん任せ。衝動買いを許した結果を心の片隅で悔いている--。というようなケースです。


 アウグスティヌスは、「愛しなさい。そうしたら、あなたのしたいことを何でもしなさい」という言葉を残しています。この言葉は「何かを好きになったら、思いついたことを勝手に何でもしていいんだ」などと読めるのですが、実は、全くそういう意味ではありません。


 アウグスティヌスがここで言う「愛しなさい」は、「世界と将来全体を慈しんで大切に考えなさい」という意味です。


 つまり、この言葉は「今の瞬間の感情で、刹那的に行動するのではなく、自分の遠い将来、そして、直接に、間接に自分に関わってくる多くの人々や物事の、これからの進むべき方向性や、あるべき姿とは何かを気に掛け、考えながら一つ一つを決断し、行う習慣をつけなさい。そうすれば、何をしても、道を大きく外れることはない」ということを意味します。


 たとえに戻るならば、「犬(または、ほかのペット)を飼いたい」という、衝動的と思われる子どもの要求があったとしたら、そのような機会にこそ、生き物を飼うことが、今だけでなく、将来にわたってどんな責任、例えば、毎日の餌やりや散歩、おしっこの世話などが伴うのか、誰がその責任を果たすのか、その責任を果たせなければ、家族が、そして、犬自身がどんなふうに悲しみ、苦しむのか--などについて、時間をかけて話し合うようにしてみてください。


 そうすれば、お子さんの心に、自分が選択する行為の一つ一つが周りの人々やものに及ぼす影響について、広く、深く考える習慣が少しずつ育っていくでしょう。そして、このように深く考えた結果としてペットを家族の一員として迎えたとき、そのペットと生活する喜びは、何倍も大きくなるのだという経験をさせることができるはずです。

(2013年3月23日号掲載)