044 むずむず脚症候群 ~足が不快で熟睡できず 鉄分不足は鉄剤内服で~

 夜になると、脚にムズムズと不快感が生じてじっとしていられなくなり、じたばたと脚を動かし続けなければならず、熟睡できない-。これが典型的な「むずむず脚症候群」(「レストレスレッグズ症候群」)の症状です。日本人の2〜5%がこの病気を持つとされ、加齢に伴って発症する人が増加し、女性に出やすい傾向があるようです。


 脚の深部に不快感

 この病気の症状には、いくつかの特徴があります。

 まず、夕方から夜になると症状が出てくる、あるいは昼間もあるけれど夜になって静かにしていると症状が強くなる-という特徴があります。皮膚の表面の異常感覚ではなく、深部の不快と感じることが多いようです。


 もう一つの重要な特徴は、この不快感は脚を動かすと軽くなることです。患者さんは脚を動かしたいという強い衝動を覚え、下半身をたたいたりさすったり、頻繁に寝返りを繰り返したり、歩き回ったりすることになります。このため不眠がちとなって、眠気のために昼間の活動性が低下します。


 鉄欠乏性貧血、腎不全、糖尿病、末梢神経障害、パーキンソン病などを持つ人に、あるいは妊娠や抗うつ剤など特定の薬物の内服に伴って出現しやすくなることが知られています。


 生活の見直しを

 まずは生活の見直しから始めてみましょう。

 

 第一に規則的な生活が大切です。決まった時刻に睡眠をとるよう心掛けましょう。カフェインの摂取や飲酒、喫煙は良好な睡眠を妨げますので控えましょう。昼間運動をして適度な疲労を感じると良眠につながります。


44-iryou-0406p.jpg

 それでも症状が改善しないなら、神経内科を受診してください。はっきりした原因が分かれば、治療を行います。多いのは、体の鉄分不足です。この場合は通常、鉄欠乏性貧血を伴っていますが、鉄剤の内服などで鉄分を補うことによって、貧血と同時にむずむずも治すことができます。はっきりした原因が見つからない場合も、薬を内服することで症状が軽くなったり消失したりします。

(2013年4月6日号掲載)


=写真=山本 寛二(神経内科部長=専門は脳卒中、パーキンソン病、認知症、末梢神経障害、ミオパチーなど神経内科領域全般)


 
知っておきたい医療の知識