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13 デカルトと考える方法 〜大きな質問は細かく分類 順番と道筋示してやる〜

 様々な悩みを抱えて苦しんでいる人を見ると、「あまり考えない方がいいよ」と言ったり、相手が子どもだと「つまんないこと考えてないで、勉強しなさい」というせりふをぶつけたりすることがあります。しかし、そんな言葉で悩みが解決するわけではありません。


 では、複雑な悩みを抱える人を助ける方法はないものでしょうか? 17世紀の哲学者のルネ・デカルトは一つのヒントを与えてくれます。


イライラはガソリン

 デカルトは「考える」ということの「方法」について、つまり、「頭の使い方」について考えた最初の人です。当時、物事の見方、考え方が新旧取り交ぜて大変混乱していたヨーロッパで、順序立てて知性を働かせる方法を学ぶ必要性を説いたのです。


 「悩み」はなぜ苦しいのでしょうか。「考える」という行為には必ず、多かれ少なかれ「イライラ」「不安」「焦り」の感情が伴います。これらの感情は、一見、思考を邪魔するもののように見られがちですが、実際には、思考を進めるために重要な役割を果たしています。


 イライラ状態というトンネルから抜け出したいがために、どうやったら抜け出せるかと人は必死に考えます。この意味で、イライラ状態は、考える(知性)という車を前に押し出し、トンネルの外に出して、解決(ひらめき)に到達することを助けるガソリンの役割を担っているのです。


 デカルトのヒントは、「大きな質問は、いくつもの細かな質問に分け」、さらに「細かくした質問の中の取り付きやすい質問から取り組んで」いきなさい―というものです。


 悩む人、子どもたちは彼らが背負っている「悩み」という大きな風呂敷包みの重さにつぶされそうになっているために、風呂敷包みの中に何が入っているかを自分では区分することができません。そんなとき、彼らの背中から、風呂敷包みをいったん下ろさせ、その中身を広げてみせ、「この中には、算数の『分数』が分からなくなっている悩み、いじめの悩み、将来進むべき道についての悩み...」と中身を一つ一つ区別し、それらの中から「まず、『分数』を分かるようにしよう」などと、取り組むべき問題の順番と道筋を示してやることは可能です。


 悩む人に対して、誰もその人の代わりになって悩むことはできません。しかし、悩みを「実り多い悩み」にする助けをすることはできるのです。悩んでいる人々の周りに、一人でも多くのデカルトが見つかりますように...。

(2013年6月1日号掲載)