記事カテゴリ:

029 クロアチア アドリア海の真珠 〜海と瓦屋根がつくる絶景〜

29-binotabi-0706.jpg

 一度行ったら病みつきになる国・クロアチア。その中でも"アドリア海の真珠"と例えられる都市・ドゥブロヴニク=ネレトヴァ郡。写真を見た人に、こぞって「いつか行ってみたい」と絶賛させる魅力がある。"海なし県"の信州人なら特に、だ。


 アドリア海を挟んで向かいはイタリア。クロアチアの南端に、その"真珠"はある。人口約12万人。旧市街に入る前に、スルジ山に向かった。ケーブルカーという名のロープウエーを使う。


 1991年の独立戦争で旧ユーゴスラビア連邦軍に破壊されたロープウエーが近年、復活した。頂上には十字架が。展望台からは筆舌に尽くしがたい光景が広がる。アドリア海の青とオレンジ色の瓦屋根。見物客のカメラのシャッター音が絶えない。これぞ「絵になる眺め」だ。


 旧市街へは、3つある門のうち西側のピレ門から入った。階段を降りると、すぐ前の広場にあるのはオノフリオの大噴水。まるで洗礼堂のような丸いドーム状の建物の至る所から天然水が出てくる。私たちは真夏に訪ねたこともあり、水飲み場には人、人、人...。


 ここから南北を分けるプラツァ通りは、かつて海だった。2つの街を埋め立てて1つの街になった。石畳ではなくピカピカ光る石が平らに敷き詰められている。一目で新しい通りだとわかる。


 通りの手前角に、清貧を極めた聖フランチェスコ修道会の修道院がある。その隣にある薬局の開業は1391年。ヨーロッパで3番目に古い老舗だ。ここに"名物"がある。化粧水やハンドクリームで、いずれも天然素材だ。教会直属だから安心とのこと。私たちの仲間も並んで香りなどをテイスティング。土産にあげた友人は「品質が良く肌がスベスベした。高品質だと、すぐに実感した」と褒めたたえている。


 お目当ての城壁巡りは階段に行列。有料で50クーナ(約800円)。1周1940メートル、高い所は25メートルある。真夏の海辺を取り巻く要塞のあまりの暑さに、幼子が泣き出して引き返す家族も。5分もたたないうちにTシャツは汗でびっしょり。眼下の海には、クルーズ船やヨット。飛び込みを楽しむバカンス客も。


 そんな中で、日本人と知って近づいてきたロシア人の年配女性がいた。「日本語を勉強しているから覚えたいの」と言って、しきりに質問してきた。ロシアとは比べものにならない暑さにも、日差し対策に上下白の服を着て海洋国家の夏を楽しんでいた。


 階段を降りる手前のカフェで、生のオレンジジュースを注文。オレンジ1個を機械に入れると、コップ1杯のジュースが出てくのだが、剥かれた皮が透明な筒を伝って落ちてくる光景が楽しい。「日本でこの商売を始めようか」などと冗談も。見上げると、先ほど登ったスルジ山に向かうロープウエーが、夏の光を浴びてまぶしかった。

(2013年7月6日号掲載)


=写真=ドゥブロヴニクの街並みと海

 
ヨーロッパ美の旅