健康診断に付きものの尿検査は、主に腎臓や尿路の病気を発見するのが目的ですが、糖尿病や肝臓病などを発見するきっかけになることもあります。
尿検査は、薬局で市販の尿検査試験紙を購入すれば、自分でも簡単に行えます。
自分で尿検査したとき、あるいは健康診断の尿検査結果を見るときに参考になるように、尿検査結果の見方を紹介します。検査に適しているのは、排せつされ始めの尿や最後の尿ではなく、排せつ「中間」の尿です。
尿蛋白
尿蛋白(たんぱく)の基準値は(−)です。(+)の結果が出たら、まず自分の体調を思い返してください。風邪をひいて熱を出していた、いつもはしないような運動をした後だった-などのときには、体調の良い時に再検査してみてください。
再検査でも尿蛋白(+)が出るようなら、病気が潜んでいる可能性がありますので、きちんと精密検査を受けましょう。内科または腎臓内科を受診してください。
尿潜血
尿潜血の基準値も(−)です。(+)の反応は、尿の中に血液が混ざって排せつされている状態を示します。目で見て明らかに尿が赤い場合と、見た目は赤くなくても血液が混ざっている場合があります。
女性の生理の影響などによる心配のない尿潜血も多いのですが、やはり中には病気が潜んでいる場合があります。特に40歳以上の人では、尿路の悪性腫瘍の可能性を考えなければなりません。泌尿器科または内科を受診してください。
尿糖
尿糖の基準値は(−)です。(+)の場合は、まず糖尿病が考えられます。内科を受診してください。

ただ、注意しなければならないのは、尿糖が(−)であっても糖尿病の場合があることです。血液検査をしないと糖尿病の診断には至りません。糖尿病が心配な人は、尿検査で尿糖(−)だからと安心するのは早計です。
以上の3つが尿検査の中でも特に注目すべき項目です。尿検査は体の中の様々な情報を教えてくれる重要な検査ですので、有効活用しましょう。
ただ「腎臓の働き具合」を調べるには、尿検査だけでなく血液検査が必要です。腎臓病の早期発見、早期治療のためには、血液検査も重要であることを付け加えておきます。
(2013年7月6日号掲載)
=写真=掛川 哲司(腎臓内科部長=専門は腎臓)