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51 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012年) 〜「子ども向け」見分け方は

 Q 教育的な映画だと思って子どもを連れていったら、難しくてぐずりだしました。子ども向け映画の見分け方は?


 A アメリカの業界団体MPAAのレーティングで「一般向け」G認定であれば、子どもに見せたくないものが出てくる心配はまずないはずです。


 ただ、同じ映画でもレーティングは国によって違います。例えば、スピルバーグ監督の『ジュラシックパーク』は、日本では子どもだけでも見にいける映画でしたが、アメリカではPG-13、つまり、ティーンエイジ前の子どもには不適切なものが含まれているという認定。宮崎駿監督の『もののけ姫』も米国内ではPG-13でした。


 R(未成年は保護者同伴が必要)やNC-17(未成年入場禁止)なら、問題ありと簡単に判断できますが、面倒なのはPGという認定です。不適切とまでは言えないけれど、親としては注意が必要なものが含まれているかもしれないという微妙なところです。


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 最近の映画では『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012年)がそれに当たります。


 今春のアカデミー賞4部門受賞に輝いた名匠アン・リー監督渾身の力作。斬新な映像感覚と風格を兼ね備えた奥深い大人向けの作品です。


 トラと227日漂流した少年の物語を、日本の配給側はジャングルブックのような動物もの冒険活劇として宣伝しました。日本の文部科学省特別選定のお墨付きもあり、映画館には幼い子どもたちも連れてこられていました。


 ところがこの映画は、原作どおり哲学や宗教に関わる重いテーマを取り扱った作品なので、幼稚園児にはとても理解できません。主人公同様、幼くして人生について深く考えるタイプの子どもも少なくはないので、十分楽しめた小学生もいたでしょうし、映像美に魅了された少年少女もいたはずですが、大人でも、もう一回見ないと理解できないと思った人もかなりいたはずです。


 本を与えるときと同様、親は子どもの発達や個性に応じて、見せるべきものを選んであげる必要がありそうです。


 一人で映画館に行けない子どもの見る映画は同伴する大人が見る映画でもあります。例えば、『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』は同伴の大人を意識して作ってあります。大人も楽しめなくては子どもを連れていく気になれませんから。まずは自分が子どもと一緒に見てみたいかどうかが選択の鍵といえるでしょう。


 夏休み、予告編サイトを見ながら、どれを見に行こうかと親子で話し合うのも楽しいかもしれません。

(2013年7月6日号掲載)


=写真=『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』DVD発売中 3490円 20世紀フォックス ホームエンターテイメント  ジャパン


 
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