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027 芳ケ平 〜笹原に湿原と池塘が点在〜

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 6月中旬の日曜日、毎年この時季に行う志賀高原でのタケノコ採りを兼ねた集まりの翌日、学生時代の仲間5人で山歩きを楽しんだ。


 今年の目的地は、日本の国道最高地点の渋峠(2172メートル)から草津白根山(2160メートル)にかけて群馬県側に広がる芳ケ平。一面の笹原に湿原と池塘(ちとう)が点在する別天地だ。


 9時に車3台で蓮池のホテルを出発。国道292号を、渋峠を経て白根火山駐車場に向かう。そこに車2台を置き、1台に全員が乗って渋峠まで戻る。渋峠を出たのは10時半を過ぎていた。


 芳ケ平まではひたすら下りなので、楽勝コースと思っていたのが大違い。前夜の雨で登山道は川になっており、道いっぱいに水が広がっている場所も。靴をぬらさないよう気を配りながら歩きにくい岩ゴロ道を下り、木道を進むと笹原に出た。


 ここは「ダマシ平」といい、ガスが巻いてスキーシーズンに迷う人が多いことから、遭難の危険を知らせるための地名という。


 さらに下ると、眼前に草木を寄せ付けない白根山の西側山腹が要塞のような姿で現れる。眼下に池塘が見えてくると、そこが芳ケ平だ。渋峠から1時間半。平たい鍋底のような地形は、白根火山の大火口原を思わせる。


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 湿原の中に整備された木道の周遊コースを快適に歩く。芳ケ平というだけあって、枯れたヨシの間から新芽のヨシが育ち、ワタスゲの白い綿毛が風に揺れる。コース中央にあったムラサキヤシオツツジの紅紫色が、ひときわ鮮やかだった=写真下。


 芳ケ平ヒュッテ手前のベンチで昼食に。ホテルで用意してもらった弁当に加え、1人1個ずつ持参のカップラーメンを作って食べたため腹いっぱいに。


 帰路は白根山の北から東側の山腹を回り込むように歩く。硫化水素ガスが何箇所も噴き出している場所があり、樹木が枯れた荒涼とした光景が広がる。


 そんな中にイタドリ、クロマメノキ、コメススキなどが見える。これらは荒れ地に最初に育つことから、「パイオニア植物」というのだそうだ。魚もいないはずの白根火山駐車場手前の池ではカルガモが1羽、悠然と泳いでいた。


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 湯釜見物でにぎわう観光客と離れ、草津方面へ向かう1台を見送り、我々は車で再び渋峠へ。帰りに中野のバラ公園に立ち寄り、多種類のバラの花を楽しんだ。

(2013年7月6日号掲載)


=写真1=別天地のような芳ケ平

 
中高年の山ある記