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29 表銀座 〜北ア満喫、槍登頂は断念〜

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 43年余に及んだサラリーマン生活に終止符を打ったのを記念し、8月上旬、元同僚のS君と槍ケ岳(3180メートル)に出掛けた。ルートは槍を間近に見ながら喜作新道を進む表銀座コース。2日目は天気が悪く登頂はできなかったものの、北アルプスの大自然を満喫した。


 初日は4時に出発。長野道を安曇野インターで降り、穂高神社裏手の安曇野市職員駐車場に車を置き、JR穂高駅前からタクシーで中房温泉へ。


 6時40分に登山口を出発。燕岳(2763メートル)手前の燕山荘を目指す。久しぶりの山小屋泊登山とあってリュックにいろいろ詰め過ぎ、20キロ近い重さに足がよろめく。


 この荷を背負って、北アルプス3大急登の一つといわれる登山道を4時間。稜線にたどり着くと、ぱっと開けた北アの180度の眺望に感激。目指す槍ケ岳は残雪を帯び、くっきりと勇姿を見せている。


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 昼食は燕山荘より先で取ることにし、なだらかな稜線を大天井岳(おてんしょうだけ/2922メートル)へ。登山道の脇には濃いピンクのコマクサが咲き誇る。V字に割れた蛙岩(げえろいわ)の間を通り抜け、大きなアップダウンを過ぎると大天井岳手前の分岐に。右が槍ケ岳、左は常念岳(2857メートル)方面だ。


 荷重のせいか、太もものけいれんに襲われながら、気の抜けない岩場を過ぎると、最低鞍部に大天井ヒュッテが見えてきた。テラスで、缶ビールで喉を潤す。間もなく夕食となり、とんかつ定食で腹を満たす。最盛期は6人詰め込むという3人部屋に、幸い2人で寝ることになり、早々と19時に就寝。


 翌朝は、朝日に染まった「赤槍」が見られる牛首の展望台に出掛けるため、3時40分に起床。しかし、厚い雲が立ち込め、槍は見えずじまい。小屋に戻って朝食を済ませ、5時40分にスタート。


 常念山脈を裏側から見ながら進むと、ハクサンフウロやニッコウキスゲなどのお花畑が登場。中でも、当たり年というコバイケイソウの白い花の群落が目を引く=写真下。登山道には、ひなを抱きかかえたライチョウの姿も。


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 眼前にそびえる赤岩岳(2769メートル)を越え、西岳ヒュッテで一休み。これから始まる岩場に備え、ヘルメットに替えて出発したところ雨が降ってきた。早速、退職記念に職場から贈られたゴアテックスの雨具に着替え、岩で滑らないように足を運ぶ。


 しばらくして雨は上がったが、槍は相変わらず濃いガスの中。東鎌尾根の急登が始まる直前の水俣乗越(みずまたのっこし)で登頂は断念。宿泊先の槍ケ岳山荘にキャンセル電話を入れ、槍沢に下ることにした。


 槍沢との出合いで昼食を取った後は、ひたすら歩く。横尾まで3時間、さらにバスターミナルまで3時間。暮れなずむ上高地を黙々と下り、18時45分発の最終バスに間に合った。新島々から上高地線の電車に乗り、松本で大糸線に乗り換え、穂高から車で自宅に着いたときは23時を過ぎていた。家で歩数計を見たら、2日目だけで何と4万1674歩、山道を25キロも歩いていた。

(2013年8月24日号掲載)


=写真=表銀座コースから望む槍ケ岳

 
中高年の週末山ある記