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16 モンテッソーリと敏感期 〜おかしなこだわり 満足な経験重要〜

 引き続き、子どもの発達段階の特徴を理解することの大切さについて、何回かに分けて考えていきます。


 お客さんが来て、ダイニングテーブルの、いつもはお父さんが座る席に座ったとします。 そのとき、よちよち歩きのお子さんが、その客に対して「そこに座るな」としぐさで抗議したりすることはありませんか? 「このお客さんのこと嫌いなのかしら」と考えたり、「誰がどこに座っても同じでしょ。失礼よ」と叱ったりするのですが、このような大人の反応は、子どもの側の事情を知らない的外れなものである可能性があります。


枝の先へと進むチョウ

 教育学者のモンテッソーリは、ピアジェの発見した子どもの発達段階の特徴をいくつもの側面から説明していますが、その一つが「敏感期」というものです。では、敏感期とは、どのようなものでしょうか。


 ある種のチョウは、卵を雨風から守るために、木の幹から出ている枝の元の部分に産卵します。ふ化した幼虫は葉っぱを食べて成長するのですが、ふ化したての幼虫が食べることができるのは、枝の先端にある「柔らかい」葉っぱだけです。では、幼虫はどうやって、枝の元から先まで移動することができるのかというと、この時期、幼虫は、光に対して大変敏感になります。そのため、光をたくさん浴びようと、枝を先へ先へと進んでいき、その結果「柔らかい」葉っぱにたどり着くことができるのです。幼虫が硬い葉っぱを食べることができるようになると、この光に対する敏感性は消失します。


 モンテッソーリは、人間の子どもたちも、成長の過程で、知性と五感の一つ一つの機能が際立って敏感になる時期があることを突き止め、それぞれの敏感期に、敏感になっている機能を大人たちが理解し、援助することの必要性を説きました。


 「秩序の敏感期」はそのうちの一つで、子どもたちは、一時期、自分が見慣れている同じ物が同じ所にある(家族の布団を敷く位置が同じ)、なじんだ物事の順番が同じように繰り返される(お風呂で腕、足、胴体、頭髪の順番で体を洗ってもらう)ことに大変敏感になります。そして、この「秩序へのこだわり」の時期を満足に経験することで、自分と自分を取り巻く人々や物事との関係を理解し、その関係に柔軟に対応できる力が育っていきます。


 お子さんが、いつもと違った位置に布団を敷いたら泣き出したとか、お風呂で、髪から先に洗ったら怒り出したりしたら、「わけ分かんない」と「おかしなこだわり」に腹を立てる前に、秩序の敏感期を疑ってみてください。

(2013年8月31日号掲載)

 
続・たてなおしの教育