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53 『ウエスト・サイド物語』(1961年) ~リメークのパターンは

53-kinema-0907p.jpg Q リメークが増えたように思いますが、オリジナルを超えたリメーク映画ってあるの?

 A リメークには様々なパターンがあります。例えば、社交ダンスに夢中になる役所広司がリチャード・ギアになったり、クリント・イーストウッド演じる伝説のガンマンが渡辺謙の剣客になったりという類。海外のユニークな作品の骨子を場所や言語を変えて作るとなると、それぞれの文化になじみやすくなったとしても、どうしてもオリジナルの味わいとは異なるものになります。

 一方、監督が自らの作品をもう一度作り直す場合ではオリジナルの存在がかすんでしまうこともあります。ドリス・デイが歌う「ケセラセラ」でおなじみのヒッチコック作品『知りすぎていた男』(1955年)がその例。1934年オリジナルより、リメークが数段勝ると監督自ら認めた作品です。

 同じ原作(もしくは脚本)を最新技術や今日的な解釈でリメークするものもあります。最近のバットマンやスーパーマンなどでは漫画が、『華麗なるギャツビー』などでは古典的文学作品がベース。このタイプでは、一つの原作に時代に応じた複数の作品が存在します。

 例えば、『ロミオとジュリエット』。1960年代末から70年代に青春を生きた世代には「ジュリエットならフランコ・ゼフィレッリ監督作品のオリビア・ハッセーで決まり」と言う方も多いでしょう。

 しかし、トーキー以降の主なものだけでも、レスリー・ハワード、ローレンス・ハーヴェイ、レナード・ホワイティング、レオナルド・ディカプリオのロミオを思い浮かべることができます。斬新な設定と映像で世界を驚かせたディカプリオ版が1996年。時は移ろい、社会も変化しました。この秋、アメリカでは、ダグラス・ブースがロミオを演じる映画が公開される予定です。それぞれの青春にそれぞれの決定版『ロミオとジュリエット』があるのかもしれません。

 ロミオとジュリエットといえば、『ウエスト・サイド物語』(1961年、ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス監督)も忘れられません。ジュリエットをマリアに、ロミオをトニーに置き換えたブロードウェイ・ミュージカル。舞台では何度も再上演されていますが、映画版のリメークはありません。

 その理由は多分、『ローマの休日』のリメークがないのと同じでしょう。デジタルでの再上映を劇場の大画面で確かめてみてください。ジョージ・チャキリス以外のベルナルドなんて、考えられます?
(2013年9月7日号掲載)

=写真=『ウエスト・サイド物語』DVD発売中 1490円 20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン

 
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