051 骨粗しょう症 ~予防はビタミン摂取 日常の適度な運動を

 「骨粗しょう症」は骨が弱くなり、骨折の危険性が増す病気です。日本での患者数は男性300万人、女性980万人、計1280万人に。国民の10%を占め、高齢者の増加でこの数はさらに増えると思われます。ほかの病気でもそうですが、できるだけ早いうちから予防を心掛けることが大切です。

 骨密度と骨質
 骨の強さは骨密度と骨質で決まります。骨密度は単純に骨の量と理解してください。
 聴き慣れない言葉が骨質です。文字通り"骨の質"で、骨の"しなやかさ"といえるでしょう。量が多くても、質が悪ければ丈夫な骨とはいえません。

 骨の質を悪くするものとして、酸化ストレスが挙げられます。酸化ストレスは生活習慣病(高血圧や糖尿病など)によって高められるといわれています。したがって、骨粗しょう症予防にはまず規則正しい生活が必要です。

 早い取り組みを
 具体的な予防策を紹介しましょう。食べ物は、カルシウムを多く取るのが基本です。しかしカルシウムを取るだけでは骨粗しょう症は予防できません。
 骨粗しょう症の予防には、ビタミンD・Kが必須といわれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。魚類(サケ、ウナギ、サンマ)などに多く含まれています。ビタミンKは緑色野菜や納豆に多く含まれます。このほか、ビタミンB・Cが骨を強くします。カルシウムの多い食品を取るとともに、これらビタミンの摂取も心掛けましょう。

 逆に骨を悪くするのは、食塩、カフェイン、アルコールの過剰摂取です。腸管からのカルシウム吸収を阻害するので、骨を弱くします。また喫煙も骨に良くありません。
 日常生活で心掛けることは、適度な運動です。有酸素運動、荷重運動は腰椎骨密度を増加させることが研究によって示されています。また運動は生活習慣病の予防にも役立ちます。屋外での運動は、日光を浴びることによりビタミンDを活性化させ、カルシウムの吸収を良くします。

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 これらはできるだけ早く、できれば子どものころから取り組みましょう。骨量は20歳ころにピークを迎え、あとは年齢とともに減少します。つまり20歳までの貯金を使い果たしていくのです。しかし決して20歳を過ぎた人の努力が無駄というわけではありません。努力することで骨強度減少のスピードを遅くすることが可能です。

 特に女性は閉経後、骨を守っていた女性ホルモンが急激に減少し、骨粗しょう症になりやすいといわれます。早めの予防を心掛けましょう。


 山田 誠司(整形外科科長=専門は下肢を中心とした関節外科、関節鏡手術、外傷)

 
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