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17 五感の敏感期 安心感につながる 匂いと感触の宝庫

 「敏感期」の続きで、「五感」の敏感期についてです。

 スヌーピーの漫画に「ライナス」という男の子が出てきます。ライナスは、お気に入りの毛布を手放せず、どこへ行くにもその毛布を引きずっていて、姉のルーシーによくばかにされています。皆さんのお宅でも、お子さんのお気に入りの毛布や縫いぐるみが汚くなったから捨てようとして、ひと騒動持ち上がったことはありませんか?

知覚の力養う

 五感=見る(視覚)、聴く(聴覚)、嗅ぐ(嗅覚)、触れる(触覚)、味わう(味覚)は、人間が外の世界と接する窓口です。これらの感覚器官が発達し、洗練され、完成するために、3歳から6歳ころまでの子どもは五感が非常に敏感になります。

 例えば、毎日、それにくるまって寝ている毛布は、触覚と嗅覚が敏感期にある小児にとっては、安心感につながる匂いと感触の宝庫です。お気に入りの毛布に頬をすり付け、くんくんと匂いを嗅ぐことで、子どもたちの感覚は研ぎ澄まされ、今後経験する様々な感触や匂いを知覚できる力を養っているのです。

 それにしても、五感の敏感期だからといって、ライナスのように毛布を引きずりながら保育園へ行かせるわけにはいきませんよね。あるお母さんは、保育園へ入園を控えた息子のSちゃんが毛布を手放せないことに困り、こんな解決方法を見いだしました。

 お母さんは、まずSちゃんが、毛布のどこの部分に特に敏感になっているのかを観察しました。すると、毛布の縁に縫い付けてあるスルスルした布の感覚にひかれるらしいのです。Sちゃんは、お母さんが着替えをしてスリップを着るときは、必ずそばに寄ってきてスリップに頬をすり付けていることからも、その種類の感触の布地がポイントだということが分かりました。そこで、お母さんは毛布の端のスルスルした部分を切り取って、Sちゃんが毎日使っているハンドタオルに縫い付け、渡してみました。するとSちゃんは、毛布の代わりにそのタオルに頬をすり付けるようになり、そのタオルをかばんに入れて、毛布なしでめでたく保育園へ行くことができるようになりました。

 五感が敏感期にある子どもたちの行動は、大人の目線からは非常に不可解に映るものが多いのですが、子どもの精神の成長には欠かせない重要なプロセスです。これからは、汚くなった毛布や縫いぐるみを子どもに黙って捨てる前に、ライナスの毛布を思い出してください。そして、男の子がお母さんのスリップに頬をすり付けているからといって「この子エッチなのかしら」などと簡単に決め込まないように。

2013928日号掲載)

 
続・たてなおしの教育