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30 大笹街道 高社山 ~地元有志が石仏13体再現~

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 秋分の日の9月23日、高社山(1352メートル)への峯入りである。JR飯山線蓮(はちす)駅で降り、千曲川に向かい古牧橋を渡り、谷街道赤岩地区を目指す。この地は少年期の恩師の生地だ。

 1時間余で赤岩の名刹・谷巌寺(こくごんじ)に着き、本尊釈迦如来に峯中(ぶちゅう)無事の祈願と学恩感謝の般若心経を奉誦(ほうじゅ)して出立。「従是(これより)頂上七拾弐丁」(頂上まで7・85キロ)と刻まれた古い道標に従い山道に入る。

 間もなく尾根道となり、石仏と碑が目に入る=写真上。碑には「高社山登山道十三仏復元、平成23年11月」と銘され、石造の一番不動明王が立っている。信仰厚き赤岩地区の有志により、13体の石仏が再現されたのであり、嶋田勲代表は「江戸時代の姿を復元し、明治時代以来の宿願を果たした。毎年5月、山頂の高杜(たかもり)神社奥社で春祭りを続けている」と明るい声で語った。

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 高社山は『下高井郡誌』(1922年)に「たかやしろやま」と明記され、山頂に高杜神社奥社と御嶽神社が鎮座する祈りの山である。赤岩地区からの参道には、往昔十三仏に加えて十二神将(じんしょう)の石像が立ち並んでいた。

 木漏れ日をうけ、心に般若心経を唱えながらひたすら足を運ぶ。この道には、法螺貝を吹き、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」と唱え、駈けた山伏たちの往昔の祈りが刻み込まれている。皇太子さまは去る6月、スペインのサンティアゴ大聖堂への世界遺産の巡礼道を歩かれた。その感懐を「昔の巡礼者たちがどういう思いでこの道を辿(たど)ったかを感じながら、歩くことができた」と述べられた。巡礼道とは歩いて思いをめぐらせる道である。

 各所の石仏を奉拝しながら、尾根道を上る。八番観音からの急な登りを抜けると、明るく開けた草地で、3体の石仏のお出迎えである。ここは胴結場(どうゆうば)と呼ばれ、かつて山仕事の休憩所であった。汗をぬぐって大休止。

 足取り軽く稜線を進むと、間もなく十三番虚空蔵菩薩で天台系山伏の2枚の修行木札が供えられており、写経を納誦。山頂を目指し、さらに進み、高杜神社奥社、御嶽神社で般若心経を読誦。上り、下りを続け主峰に着到。

 高井富士の霊気を身にうけ四方拝。眼下は北信五岳に固められた善光寺平と飯山みゆき野が大展開。美しふるさとに秋の恵みは満ちている。先人は「絶頂に至れば、上越信三国の連山を一目し、川中島の地、眼中に収め、千隈川、犀川の屈曲白布を敷けるが如し」(長野県町村誌=昭和10年)と激賞している。赤トンボの群れを友として昼餉(ひるげ)。
 帰路は赤岩口下山近道を下り、一番不動明王に戻って納め。次は須坂市三原道を歩く。
(2013年10月12日号掲載)

=写真=古牧橋から見た高社山
 
絆の道