052 インフルエンザ対策 ~全身の症状が突然に 流行期前に予防接種~

 毎年冬に流行する季節性インフルエンザのウイルスには、A/H1N1亜型(2009年に流行した新型インフルエンザと同じもの)、A/H3N2亜型(いわゆる香港型)、B型の3つの種類があります。
 流行の時季やかかりやすい年齢層は種類によって多少異なりますが、普通の風邪と異なるのはせきや喉の痛みに加えて、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れることです。高齢者や慢性呼吸器疾患の人は肺炎を、小さな子どもはまれに急性脳症を合併し、重篤化することがありますので注意が必要です。

 うつされない工夫
 インフルエンザの対策は、運動、栄養摂取、休養、睡眠といった基本的な生活習慣をきちんとすることと、流行期に入る前の12月中旬ごろまでに予防接種を受けることです。予防接種は、受けたからといってインフルエンザにかからないわけではありませんが、発病と重篤化の予防に効果が認められています。

 流行期に入り、周りにインフルエンザの患者が出始めたら、うつされないための工夫が必要です。

 インフルエンザは、感染した人が発するせきやくしゃみなどのしぶき(飛沫(ひまつ))を吸入することによって広がっていきます。一般に、しぶきの飛ぶ範囲は1~2メートルと考えられていますので、しぶきを浴びないよう患者に近づかないことが第一です。

 そして、しぶきを吸入しないためのマスクの着用や、手指や体などに付いた飛沫を除去するため、流水やせっけんによる手洗いも重要です。

 せきエチケット
 自分がうつってしまったら、周りにうつさないための「せきエチケット」を心掛けてください。
 (1)せきやくしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえ、周りの人から顔を背ける
 (2)ティッシュはすぐにふた付きのごみ箱に捨てる
 (3)せきやくしゃみが出たらマスクを正しく着用する

 インフルエンザにかかったら、症状の強い人や基礎疾患のある人は早めに医療機関を受診してください。発症48時間以内であればウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が使用可能です。

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 もともと健康で症状も軽い人は、十分な休養と水分、バランスの良い栄養を取ることを心掛けながら、様子をみて構いません。ただし、「せきエチケット」を守り、解熱後2日間は外出を控える必要があります。
(2013年11月9日号掲載)

=写真=平井 一也(副院長・呼吸器内科部長=専門は呼吸器、肺がんの画像・内視鏡診断と治療、呼吸器感染症)

 
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