食中毒には大きく分けて、細菌(ばい菌)によるものとウイルスによるものがあります。
細菌性の食中毒は高温多湿となる夏に多くみられ、病原性大腸菌O-157やサルモネラ、キャンピロバクターなどが有名です。
一方、ウイルス性の食中毒の代表がノロウイルス感染症です。ウイルスは乾燥を好むため、比較的冬場に多くみられますが、最近は年間を通じて発生しています。
細菌性もウイルス性も、感染した食品を食べたり、調理する人や食べる人の手、調理器具に付着した菌やウイルスが体内に入るのが原因です。ノロウイルスは空気中にも漂っていることがあり、うがいや手洗い、調理器具の洗浄、消毒を小まめに行うことが大切です。
感染拡大の防止法
ノロウイルスは感染力が強いため、保育所や学校などで集団感染したり、レストランや職場、病院、介護施設などで集団発生し問題となります。感染した人が吐いた物や便の中にはウイルスがいるため、吐いた物や便を処理する際は、直接手で触れないように使い捨てのビニール手袋やマスクをし、ペーパータオルなどで拭いて、そのままビニール袋に密封して捨てることが必要です。ウイルスはアルコール消毒では消えないため、薄めた塩素系漂白剤で消毒します。
主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、発熱(37~38度程度)、腹痛などで、比較的軽く済むことが多いのですが、症状が出始めの短期間は症状が強いこともあります。インフルエンザのように特効薬(抗ウイルス薬)はありませんが、ほとんどが2~3日の経過で良くなります。
スポーツ飲料で水分を
しかし、小さな子どもや高齢者、持病のある人は注意が必要です。また、症状が良くなっても、1週間程度は便の中にウイルスが出ているため、周りの人にうつさないように、トイレの後はしっかり手洗いをして、手を拭くタオルは共有しないようにしましょう。
もし感染してしまったら、脱水症状にならないように小まめに水分補給することを心掛けましょう。お茶やミネラルウオーターより電解質の入ったスポーツ飲料の方が効果的です。

小さな子どもや高齢者で、吐き気が強く水分も取れない場合は、点滴が必要になることもあります。また吐いた物を喉に詰まらせて窒息したり、吐いた物を誤嚥(ごえん)して肺炎になってしまうことがありますので、注意が必要です。症状が重い場合や数日たっても下痢や高熱がみられるときは、我慢せず近くの医療機関を受診してください。
(2013年11月23日号掲載)
=写真=原 悦雄(消化器内科科長=専門は消化器、胃腸、内視鏡)