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18 知性の敏感期 ~理解助ける方法「ゆっくり」「黙って」~

 次は「知性」の敏感期についてです。
 小さな子どもが、服のボタンのはめ方が分からない。「ほら、こうするの」とやってみせるのになかなかできない。どうして? と思うことはありませんか。

 幼児にとって、身の回りは不思議に満ちた世界です。子どもたちは、知性をフル回転させて、ものごとの成り立ちを理解しようとしますが、まず切望するのが、「どうやったら、自分の体を自由に動かせるようになるのか」という問題です。

アンテナ研ぎ澄ませて
 子どもたちが最初にすることは、周りの大人たちの動きの観察です。「どんなふうに指を動かしたらボタンをはめることができるのだろう」-などと。

 ボタンをはめるという行為は、簡単な動きのように見えますが、実はかなり複雑な手の動きを伴っています。それは、片手にけがをしていてボタンをはめようとすると意外とてこずることからも分かっていただけると思います。子どもたちは、この複雑な動きの仕組みを、観察のアンテナを研ぎ澄ませて、理解しようとするのですが、その動きをすでに習得してしまっている大人たちは、ゆっくり動いてはくれません。観察は難しくなり、なかなか理解できず、子どもはイライラするし、お母さんは「こんな簡単なこと、どうしてできないの!」と声を荒げるという悪循環が起こります。

 モンテッソーリが、幼児の理解を助ける方法として、次の2つのポイントを示しています。子どもが理解したがっている動きを「細かいステップに分けて、非常にゆっくりと」やって見せる。そして、そのとき「言葉で説明しない」。

 例えば、ボタンをはめる動きは、以下のように分解できます。(1)右手でボタン穴がある身頃の端をつまむ(2)ボタン穴を親指で広げる(3)左手でボタンをつまむ(4)ボタンをボタン穴に差し込む(5)ボタンを右手で引っ張る(6)左手で身頃を引っ張り、ボタンをボタン穴に完全にくぐらせる―。第1のポイントは、これらのステップを、「一つ一つ、ゆっくり」と行うことです。

 2番目のポイントは、これらの動作を「できるだけ言葉を使わずに」行うことです。幼児期の知性は、種類の異なったデータを同時に理解することがまだ苦手です。例えば、目から入ってくるデータ(お母さんの手の動き)を理解しようとしているときに、耳から入ってくるデータ(説明の言葉)を同時に理解しなければならないとき、混乱を生じやすいのです。

 どんな動作にもこれらの2つのポイント「ゆっくり」「黙って」をどうぞ使ってみてください。お子さんの「あっ、分かった!」の笑顔が増えるはずです。
(2013年10月26日号掲載)
 
続・たてなおしの教育