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034 マラガの古城 ~「二つの顔」がある魅力

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 中高年の人は、幼いころにアイ・ジョージさんという声量のある歌手がいるのを覚えていることだろう。紅白歌合戦でも歌われた「ラ・マラゲーニャ」。彼はこの歌詞の中で、「マラゲーーーニャ」と驚くほど長く引っ張る声を披露した。マラゲーニャとは「マラガの娘」という意味だ。ヒマワリの群落を想起させる、太陽がまばゆいアンダルシア地方。アラビア文化の中心地であったこの街は、スペイン人をイメージする情熱そのものを表しているようだ。

 マラガ鉄道駅からタクシーでホテルに向かう途中、とりわけ目を引いて運転手に尋ねた丘の上の古城。それが中心街から北東に高くそびえるヒブラルファーロだった。13世紀に建てられた、いかにもアラブ様式でイスラム教の城塞だ。キノコの形をした壁の飾りや見張り塔など、ピレネー山脈東側の西ヨーロッパにはあまり見られない城の姿形が面白い。「ピレネーを越えればアフリカだ」というナポレオン・ボナパルトの言葉を思い起こさせる。

 城塞をぐるっと一周すれば、マラガの旧市内が見下ろせる。古代フェニキア人によって建設され、古代ローマや中世にはイスラムの支配を受けながらも、コスタ・デル・ソル(太陽海岸)の玄関口として、欧米からのバカンス客が夏に殺到する国際的なリゾート地としてのダブル・フェースの魅力を持つ。城塞の不思議な形もさることながら、ひときわ目を引くのが、ここからの眺め。海岸沿いに延びる遊歩道には、前日歩いた、ヤシの木などの熱帯植物が茂るプロムナードも、ここからよく見える。

 南の眼下に目を転じると、美しい闘牛場が見える。西に目をやれば、マラガ港。地中海だ。あの向こうはジブラルタル海峡を挟んでアフリカの大地なのだと思うと、なんだかうれしくなってくる。

 アイ・ジョージさんの歌うスペイン語の詩にはマラガの娘の魅力が満ちあふれている。

 なんと美しい目を
 その二本の眉の下に
 その二本の眉の下に
 なんと美しい目を
    中略

 コケティッシュなマラガの少女よ
 あなたの唇に口づけをしたい

(2013年12月7日掲載)

写真=マラガの旧市内が望める丘の上の古城
 
ヨーロッパ美の旅