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035 スペイン ガウディ ~カタルーニャ芸術の代表~

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 スペインの観光地で 一番人気は、サグラダ ファミリア(聖家族教会)だ。正式には末尾に「贖罪教会」が入る。別名「石の聖書」とも呼ばれている。今では年間の見学者が300万人を超す。

 1882年に建築が始まり、130年以上にもなる。私が最初に訪ねた30年前に、「完成まであと100年以上かかる」と言われ、度肝を抜かれた。

 今のところ、設計者のアントニ・ガウディ(1852~1926)の没後百年を目標に2026年に完成を予定している。1992年のバルセロナ五輪を機に寄付金などが相次ぎ、資金集めにめどが付いたためという。

 ガウディは奇怪な建築家だ。31歳の時にガウディに幸運が舞い込んだ。依頼されたある建築家が注文主と意見が分かれ、お鉢が回って来た。

 人は人生に大きなチャンスが3回はめぐって来るという。私のような凡人は、うっかり見逃してしまうが、賢い人はそれをつかみ取る。1884年に着工して3年がかりで完成させたグエル別邸が市内にある。グエルとはガウディの友人でスポンサーにもなった素封家。別邸の門のモニュメントにドラゴンのモチーフを用いたのが評判になり、以後、注文や依頼が殺到したという。この別邸の屋根に、カラフルなモザイクと煉瓦を使っているが、これがガウディのデザイン建築の原点だ。

 ガウディは、生涯この地を離れず、バルセロナで勝負した。グエル公園やカサ・ミラ邸、バトリョ邸などだ。当時、好んで動植物を題材に利用したフランスのアールヌーボー(新芸術)が花開いたように、この地方にも、カタルーニャ・モデルニスモという芸術運動が起きた。曲線や明るい配色や新技術の応用などイノベーションが好まれたのだ。その代表がガウディだった。

 ガウディの特徴は曲線だ。グエル公園や1900年から2年がかりで制作したミラーリェス邸。石と岩だけで造られた長い竜のようなオブジェは、京都・善峯寺にある遊龍の松を想起させる。

 聖家族教会に戻ろう。東側の正面にある「生誕のファサード」。ベツレヘムでのキリスト誕生から幼少期に関わる彫刻で飾られている。植物や動物の模様で飾られているのが目につく。ここはガウディが生きている間に造られた。西側には「受難のファサード」。ガウディの死後の建設でモダンな造りになっている。

 ガウディは、生きている間には完成しないことが分かっていた。後継者にバトンを託すべく、模型を残している。原形は内戦により焼失したが、後継者が残骸を集めて復元した。彼は、資料を基に、自由な発想で作成されることを願っていたという。
(2013年12月14日号掲載)

=写真=サグラダ・ファミリアの東側正面にある「生誕のファサード」
 
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