「ロコモ」という言葉を聞いたことがありますか? 「ロコモ」とは「ロコモティブシンドローム」の略で、いま「メタボ」に次いで話題となっている言葉の一つです。運動器の機能が低下することで「立つ」「歩く」など日常的な動作が困難になり、介護が必要になったり寝たきりになってしまう危険性がある状態をいいます。
運動器とは、骨や関節、筋肉、神経など体を動かす機能を持つ器官のことです。これらは、そのうちの一つでも障害を起こしてしまうと全体としてうまく機能せず、簡単な動作を行うこともままならなくなってしまいます。
「要介護」や「寝たきり」の状態になってしまう原因はいろいろ挙げられますが、そのうちの約20~30%はロコモが原因で、脳卒中に匹敵するほどの割合です。
7つのロコチェック
日常生活で思い当たることがないか、チェックしてみましょう。一つでも当てはまれば、ロコモである心配があります。
(1)片脚立ちで靴下がはけない
(2)家の中でつまずいたり滑ったりする
(3)階段を上るのに手すりが必要である
(4)横断歩道を青信号で渡りきれない
(5)15分くらい続けて歩けない
(6)2キロ程度の買い物(牛乳1リットルパック2個程度)をして持ち帰るのが困難
(7)家のやや重い仕事(掃除機の使用や布団の上げ下ろしなど)が困難
簡単な運動で予防
ロコモの心配があっても、簡単な運動で予防できます。日本整形外科学会が勧めているトレーニングを紹介しましょう。無理をせず、自分のペースでやってみてください。
●開眼片脚立ち
テーブルなどの横に立ち、片手をついてテーブル側の足を床に着かない程度に上げます。これを左右1分間ずつ、1日3回行います。
●スクワット
立って両足を開き、椅子に腰掛けるようにお尻をゆっくり下ろし、ゆっくり元に戻します。初めは浅く、だんだん深く下ろします(膝の曲がりは最大90度まで)。深呼吸をするペースで5~6回繰り返し、1日3回行います。

年齢を重ねると運動するのがおっくうになってしまいますが、動かさないと体はどんどん衰えていきます。簡単なことでかまいません。毎日少しずつでも運動する習慣をつけてロコモを予防し、元気に過ごしましょう。
南沢 育雄
リハビリテーション科部長、整形外科科長=専門は股関節外科、膝関節外科、関節リウマチ、骨折治療、同種骨移植